先週大阪に出たついでに、司馬遼太郎記念館に行ってきました。

司馬さんの自宅があった東大阪市にあって、司馬小説のファンとして以前から行ってみたいと思いながらも、そう遠いわけではないのにこれまで機会がありませんでした。

鶴橋から近鉄に乗って10分程度の「河内小阪」という小さな駅から、歩いて10分くらいの住宅地にあり、意外と簡単に行けました。

駅前の商店街を抜けて、

案内にしたがって進みます。

近くの公園には石碑がありました。

こちらが入り口。

10時の開館前から待っている人もちらほらいました。

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司馬作品といえば、膨大な資料に裏打ちされた歴史小説の数々。

「司馬さんがある時代の小説を書こうとすると、神田の古書店街からその時代の本が消える」という伝説があるほどです。

自宅の玄関から廊下、壁面のすべてに作られた本棚に収められた蔵書の数はなんと6万冊。

庭に面した書斎は生前のまま保存されていて、見ることができます。

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この自宅の脇の敷地に建築家、安藤忠雄氏の設計による記念館があります。

壁面は一面の書棚になっていて、蔵書のうち2万冊が展示されています。

古今東西の歴史全集や郷土史、宗教関係から語学関係まで幅広い資料が体系的に蒐集されていて、手にとって見ることはできませんが、背表紙を見ているだけで司馬さんの思想世界に触れることができます。

これらの資料から編み出された作品の数も膨大で、文庫になったものだけでもゆうに200冊を越えています。

この中から坂本龍馬や高田屋嘉兵衛、秋山兄弟など様々な歴史上の人物が掘り起こされ、羽ばたいていった現場だと思うと感慨があります。

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司馬さんは、阪神大震災を経て21世紀を目前にした1996年に亡くなりました。

その司馬さんが小学生に向けて書いたのが「二十一世紀に生きる君たちへ」。

これはその推敲を重ねた原稿です。

一言一言を編み出す、血のにじむような努力のあとが感じられます。

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記念館はこの巨大な書棚と、ちょっとした展示コーナーのほか、小さなホールがあって、司馬遼太郎に関する映像を見ることができます。

展示コーナーでは、大河ドラマ関連で「世に棲む日々」(ちょうど先日読んだところです)に関する展示がありました。

司馬作品に思い入れのない人にとっては、ふ~ん、で終わってしまいそうな小さな記念館ですが、来ている人はだいたい好きそうな人たちばかりでした。

僕も2時間ほどじっくり見入ったあと、お茶を飲んで帰りました。