先日初めてあべのハルカスに行ってきました。

お目当てはもちろん展望台、ではなく、あべのハルカス美術館で開かれている「高野山の名宝」展。

今年は高野山開創1200年ということで、さまざまなイベントがあるようです。

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ところでこの弘法大師(空海)。

日本の歴史上で、聖徳太子と弘法大師は、昔から何でもできるスーパースターとして、数多くの「超人伝説」が各地に伝わっています。(ほとんどが後年の創作です)

実は僕、両親が弘法大師と同じ香川県の出身で、しかも誕生日が大師と同じ615日。

だから勝手に弘法大師の生まれ変わりを自称しています。(軽く無視していただいて結構です)

とはいっても、これまで空海のことも、密教のことも、ほとんど知りませんでした。

高野山には、嫁さんの実家のお墓があるので、何度か訪れたことがありますが、特に興味を惹かれることはありませんでした。

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最近になって司馬遼太郎氏の「空海の風景」(文春文庫、上下刊)を読みました。

空海の生涯を描くといっても、時代は奈良から平安に移るころで、しかも相手は歴史上に伝説の多いスーパースター。現代人にはその心象に迫ることは困難です。

そこであえて氏の得意とする小説の形をとらず、大師の足跡をたどりながら、心象風景を想像する随想のような形で描かれています。(だから題名も「空海の風景」です)

讃岐から都に出て、仏教をこころざし、やがて滑り込みで遣唐使船にのりこみます。

井上靖氏の「天平の甍」にあるように、当時の渡唐はまさに命がけでした。

ライバルである最澄との確執は、まさに「田舎出の大天才」対「エリートの秀才」という感じ。

やがて唐では、突如東海から現れた大天才に熱狂し、ついには密教最後の師から秘儀を直伝され、また命がけで海を渡って密教を日本に伝授しました。

ところで空海は帰国前、唐の海岸から密教の法具、三鈷杵(さんこしょ)を投じました。(まん中が空海)

その三鈷杵が見つかった地が、高野山だというのです。(んなアホな!)

まさに「ダーツの旅」ですね。

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こちらは高野山をわかりやすく解説したマンガ、「高野山へ行こう!」。

空海に恋してしまった漫画家が、かわいい絵で高野山を紹介してくれます。

ここで高野山の国宝「八大童子」が紹介されていました。

マンガとはいえ、仏像の絵や解説はしっかりしています。

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今回の「高野山の名宝」展では、この「八大童子」が一挙公開されるというので、行ってみました。

高野山にまつわる国宝、重要文化財がずらり勢ぞろい。

「弘法も筆の誤り」として知られ、「天下の三筆」のひとりとされる空海直筆の書です。

力強くはあるけど、そんなにきれい??

運慶作と伝えられるこの「八大童子」。

ちょっとぽっちゃり系の少年たちですが、どれもなかなか凛々しい表情です。

不動明王の眼は水晶でできていて、こちらを睨みつけています。

まあ、怖いお顔・・・

そしてこの快慶作といわれる「四天王立像」。

この表情はまさに「劇画」のタッチです。

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これまで仏像にはほとんど興味なかったけど、こうして見ると実にオモシロイものです。

この展覧会、残念ながら今月8日までです。