踊るシリーズは全て観ているが、「交渉人 真下正義」は今までとはひと味違い多面的な要素があってとてもおもしろかった。話の筋としては、地下鉄を利用したテロ犯と交渉人真下との戦いというストーリーなのであるが、その中で展開される交渉術としてのテクニカル的なおもしろさと、ともに戦う現場の人間たち(プロの仕事)のヒューマンドラマがいっしょに楽しめる。

キャスト的にもユースケ・サンタマリア演ずる真下正義をはじめ、脇を固める俳優人(TTR総合指令長の片岡(國村隼)、特殊急襲部隊の草壁中隊長(高杉亘)、現場担当の木島警視(寺島進))のキャラクターが明確で展開がとてもわかりやすかった。特に木島警視の人間くさいキャラクターは、論理的な交渉術とは対比的な存在として描かれており、とても好感がもてた。

映画の冒頭で室井管理官の「交渉課の必要性を証明してこい」という台詞があるが、これが最後に効いてくる。はじめはみな交渉人の必要性を感じておらず、「何ができるんだ」という疑いを持っているのだが、犯人との戦いが進んでいく中で、その必要性を確信させられ信頼を高めていく。
この映画のキャッチコピーに「踊るを超える踊る…。」というのがあったが、この表現は決して言い過ぎでなく踊るシリーズを観てない方でも充分楽しめると思う。(★★★★☆)
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