たいは柏子ども教室では1級で、現在子ども教室には有段者がいませんので、級位はいちばん上ということになります。


自然、たいが駒を落とす機会が多くなりますが、ステップアップを目指すには、自分より強い人ともっとたくさん指せる別の場所もあったほうがいいのではないかと思っていました。


そんなこともあって、今年の7月の頃は、柏子ども教室に代わる、あるいは補完的に通える教室を探してみようかと話していました。

結果としてこの模索は、本人の考えによって徒労に終わるのですが、その時に体験に参加させていただいた子ども教室の話を書いておこうと思います。


まずは、翔風館。


鈴木館長率いるこの組織は、子ども向け、というよりも、東京、千葉、神奈川、埼玉、栃木の各県に支部を持つ、大きな大きな組織です。

社団戦などにもたくさんのチームがエントリーしていますし、5月の子ども将棋教室対抗戦でも、エントリー数の多い教室のひとつです。


夏の親子将棋合宿を開催するにあたり、いろいろとアドバイスをくださったゆうパパさんが、栃木支部でご活躍されているご縁で、東京・江戸川橋の研究会に体験参加させていただいたのは合宿を目前に控えた7月上旬のことでした。


研究会にもいくつか種類があることを、うかがった際に知ることになるのですが、私とたいが参加させていただいた研究会は、アマチュアでも強豪の方ばかりが集まる研究会。


奨励会員もよく参加されるそうですし、この日はある女流棋士の方も、フツーに会員として参加されるようなハイレベルの研究会でした。


当然ながら、たいが平手で指せるような方はいらっしゃらず、2枚くらい落としていただいての対局となりました。


このレベルになると、対局中はぴーんと張り詰めた空気が流れ、ただ座っているだけでも緊張します。


たいは4局指させていただいて、最後の1局で、何枚か落としていただいて勝たせていただきましたが、いつもの通りの早指しで慎重さに欠け、対局も常に他の方より圧倒的に早く終了。


終局後も、感想戦を丁寧にお願いするわけでもなく、他の方の対局を見学させていただくわけでもなく。


将棋の実力以上に、あきらかに将棋に対する姿勢に申し訳ないほどの差があり、わざわざ駒を落として対局してくださった相手の方に申し訳ない状況でした。


ところで、ここに参加していた5年生のOくん。


将棋歴はまだ浅いそうなのですが、女流棋士の先生にも平手で勝ってしまうほどの強豪。


このO君が、休憩時間中になにげなくつぶやいた発言には驚きました。


曰く、


「あー、将棋指したい。24時間将棋指してたい。」


って、今まさに将棋指してるじゃん(笑)。


5年生の子が、自発的にそんな風につぶやくとは、今さらながら目からウロコ。


「将棋が好きだ」っていう気持ちが、まさにほとばしっている感じです。


こういうことは、教えようとしてなんとかなるものではありませんね。


毎日3000題以上の詰将棋を解いているリキくんや、自分より強い大人と少しでもたくさん指したいと道場めぐりをするノブくんにも共通するこの熱意。


明らかに我が子のそれとは何かが違うようです。


誰しもが打ち込めることに出会えればそうなるのか、否、そういう打ち込み方ができるのは天賦の才能のひとつなのでしょう。


素晴らしいことだと思います。


Oくんのつぶやきはその後も私の頭に残っていて、私たち親子のこれからの将棋への取り組み方について考えるよいきっかけとなりました。


研究会員のみなさまにはお邪魔をして申し訳ありませんでしたが、よい体験をさせていただいたものと、感謝しています。


会場となったビルの一室は、通常の将棋道場とは違い、館長の情熱によって維持されている専用の研究室とのこと。


プロ棋士の組織とは別に、こうして熱心に将棋界を支えている指導者の方が、ここにもいることを知れたのもうれしいこと。


この日は、迫る将棋合宿のための賞品用に、たくさんの書籍などもわけていただきました。


そうそう、翔風館には子どもがあつまる教室もあって、こちらなら、たいくらいのレベルでも指すことができるようです。


我が家は定期的に通うには地理的な問題もあって難しいのですが、熱い情熱を持った指導者のもと、強くなる将棋を目指すにはよい教室だと思います。


鈴木館長、ゆうパパさん、ありがとうございました!