柏将棋センターにいると、たびたび耳にする名前があります。いつも穏やかな笑みをたたえている石田先生も、この人の名前が出ると一層相好が崩れます。
佐々木勇気三段、14歳。
石田先生のお弟子さんです。
この夏、将棋のプロ棋士の登竜門である奨励会の三段 に昇段されています。
棋士は四段になると晴れて日本将棋連盟の正会員=つまりプロとなることができるので、佐々木三段はあと1歩でプロ、ということになります。
中学生棋士は過去にわずかに4人。加藤一二三九段、谷川浩司九段、羽生善治四冠、渡辺明竜王と、素人の私でも知っているそうそうたる顔ぶれです。
そして四人が四人とも、タイトルを獲得しているのです。
しかも佐々木三段は現在中学2年生ですから、もしも今期の三段リーグ を1期抜けすれば、谷川九段以来史上2人目の中学2年生プロ誕生となります。
佐々木三段が初めて柏将棋センターの門を叩いたのは、まだ小学校入学前のことだそうで、当時の強さは柏センターではもはや伝説と化しています。
小学3年生で、強豪集う柏のトーナメントに参加し、見事優勝してしまった!という話を私はもう何度聞いたでしょうか(笑)
当然こどもの将棋大会の戦績も華々しく、
小学3年生でJTこども東京大会低学年の部優勝
小学4年生でJTこども東京大会高学年の部優勝
同じ年、小学4年生で小学生名人のタイトルも獲得 、その半年後に奨励会入りしています。
石田先生の口ぐせは
「第2の佐々木勇気が出て来ないかと思って期待してるんだけどな~」で、
すると誰かが必ず、
「いや~、あれは別格ですよ。ありえない。」とかえします(笑)
そんな佐々木君も、小さい頃は(小学4年だって充分小さいと思いますがw)
「こんなとこでね、香車取りにいったりしてね~、『そんな無駄な手、指すな!』って叱ったこともあるんですよ」
と石田九段。
指導対局中にも嬉しそうにに話をしてくれるのですが、お話に夢中で、対局相手の子供の1三角から5七角成を見逃し、
「ありゃっ!? 先生、話に夢中でこんな大切な手筋、見逃しちゃったよー、こりゃ参った!詰んじゃうよ!」(笑)
(先生、ジャマしてしまってすみません)
実はまだ私はお会いしたことがないのですが、将棋界を背負ってたつ逸材として、是非柏の地から羽ばたいていっていただきたいものだと、影ながら応援しています。
柏センターに来るみんなが同じ気持ちなのだと思います。
勝手に大きな期待をかけられるご本人のプレッシャーは大変なものでしょうけどね。
是非佐々木三段のこれからの躍進にご注目ください。