『純』
1980年(日)横山博人監督作品
この作品が世界各国の映画祭に出品された。
これが日本の青年たちの日常だと思われるとたいへん不安であり、
不快な作品である。
主人公の純は遊園地の遊具の修理工をしながら、
漫画家を目指している。
純にはヨーコという恋人がいるのだが、
手もつなげない純情青年。
そんな彼が、
通勤電車になると豹変し、
狙いを付けた女性に痴漢行為を働く。
ヨーコはその痴漢現場を目撃してしまい・・・
純は九州出身という設定。
魚眼レンズで撮った故郷軍艦島の廃墟の描写は、
唯一といってもいい虚無的で印象的な場面になっている。
純が痴漢行為に耽るようになったのは、
どうやら少年時代の体験が原因となっているようだが、
あまりにも表現が抽象的すぎてよくわからない。
携帯などない時代、
駅の伝言板が懐かしい。
ピンクレディーの曲が、
比喩的に使われているのも興味をそそられるが、
やっぱりこういう題材は好みではない。
純は社会的に制裁を受けるべきなのだ。
それが、
何もなかったかのように恋人とよりを戻す。
痴漢の彼を許す彼女って何!?
童貞の青年のみる夢物語としてとらえてほしいのかな。
無理矢理そういう解釈をしないと、
本当に後味の悪い作品だ。
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