最新医療事情96「 プレベナーの副反応 」  | 脱奴隷小児科医の刹那主義

最新医療事情96「 プレベナーの副反応 」 

さてと、みなさん懐メロ聞いてますか~

北野たけし氏、すごいですね。
フランスから最高章の文化勲章を授与されたそうで。
天才というのは、つまり天から才能を与えられている人というのは、こういう人を言うのでしょう。
世界に誇れる才能を持つ北野たけし氏と同じ日本人であることを嬉しく思います。
奢ることなく、芸人としての自分の姿勢を貫き続ける北野たけし氏。
いまだにテレビでは、変な着ぐるみを着て我々を喜ばせてくれる偉大なる天才。
ここまで評価されるようになったら、普通の人だったら変な着ぐるみ着たりなんかしないでしょ。

 「 いや、昔っから俺こういうカッコすると妙に落ち着くんだよな。もうクセになっちゃって。」

さらっと言いそうですよね。

周りからどう評価されようが、自分の姿勢を決して曲げない、貫き通すたけし氏の生き方。
同じ男として尊敬するし、自分もそうありたいものです。

「日本の文化勲章と人間国宝をもらいたい」とコメントされていますが、おそらくたけし氏は本当は
欲しくないはずです。
どう考えても、たけし氏がそんなもの欲しがるとは思えませんよね。
「人間国宝になって無銭飲食で捕まるのが夢」と言っているように、文科省に対するたけし氏なりの
ユーモアを交えた痛烈な批判だと思っています。
「そんなものギャグの道具にしか使えねえよ」っていうね。

いつもチャラけていますが、たけし氏の発言というのは、世の中や物事の本質を突くするどい発言
ばかりだと思っています。

お笑いというオブラートに包んでいますけどね。







では、本題です。


小児用肺炎球菌ワクチン『プレベナー』に関する情報が入りましたので、報告しておきます。

国内臨床試験において、181例を対象に解析したデータをお示しします。
細かいデータは省いて、簡略化したものを書いておきます。

『 まずは何らかの副反応が認められた頻度は約90%くらいでした。
  その中で局所の副反応として、局所の発赤・腫脹などが70~80%。疼痛が15%程度。
  全身の副反応として発熱(37.5度以上)が20%前後、傾眠傾向が10~20%。
  食欲減退が7%ぐらい、異常号泣や嘔吐が3%前後、蕁麻疹や下痢が1~2%ぐらいです。

  重大な副反応としましては、呼吸困難が181例中1例(0.6%)認められています。
  その他、麻痺などの神経障害や脳障害などの記載はありませんでした。 』

軽度の副反応が高めといった印象でしょうか。
海外の報告では、重大な副反応としてショック、アナフィラキシー様反応、痙攣などが認められて
いるようで、頻度は不明と記載されています。



では、副反応のリスクを承知で接種するだけの価値があるのかということですが・・



結論としては、接種する価値があると考えます。


データを示します。

重症感染症(以後IPD:侵襲性肺炎球菌性疾患と略す)のうち、髄膜炎と菌血症(血中に菌が
混じることにより全身の臓器に影響をもたらす)の発症例の比較です。

1995年~1998年の期間で、
約1万1千例のプレベナー非接種群においてIPD発症例は39例。
同じく約1万1千例のプレベナー接種群においてIPD発症例は1例。
ワクチンの有効性は97.4%。

もうひとつのデータを示します。

生後2か月の幼児約3万8千例を対象に、1998年~1999年のプレベナー定期接種前のIPD
発症数と、2005年の定期接種後のIPD発症数を比較。
前者は10万人あたり81.9人の発症率、後者は同じく1.7人の発症率、有効性は98%。


この重症感染症は、1~2歳児に最も多くこの時期を基準として100人と仮定すれば
2~3歳は40人、3~4歳は20人、4歳以上は10人以下となっています。

つまり接種するなら、早い時期にしないと意味がないということです。

気になるお値段ですが、前の記事にも書きましたように

 > 肺炎球菌ワクチンは1回9000円-1万円、ヒブワクチンは1回7000円-9000円程度。
  生後7か月未満の乳児では、それぞれ4回接種が必要なため、両方合わせて6万円-8万円になる。


高いですが、子供手当て半年分でまかなえます。

より多くの方に接種してもらいたいですが、このワクチンの価値を見い出して、子供手当てを貯めて
接種してくれる家庭が増えることを期待するしかないです。

しかし接種者を増やすには、ある程度は公費負担をしないと現実は困難でしょう。

生まれてくる環境を選べない子供が、なるべく平等に健康を維持できるように・・・