3.11:東電福島第一原発事故:指定廃棄物最終処分場問題:栃木県矢板市 茨城県高萩市 | 端事些事のブログ

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3.11:東電福島第一原発事故:指定廃棄物最終処分場問題:栃木県矢板市 茨城県高萩市


「当事者意識ない」 最終処分場候補地 地元県議が県を批判(2012年9月28日 東京新聞)
 高濃度の放射性廃棄物を埋め立てる最終処分場の候補地選定問題をめぐり、二十七日の県議会一般質問で、国と矢板市の調整役を担う県に対し、地元県議から「当事者意識がない」と厳しい批判が出た。傍聴席を埋めた地元住民らも、県側の答弁には納得しなかった。茨城県ではこの日、新たな処分場候補地が示されたが、栃木県では混迷の度合いを強めている。

 一般質問では、矢板市選出の斎藤淳一郎県議が登壇した。今月三日に環境省から候補地が示されるまで、県内の市町に対する説明会は七月の一度だけだったと指摘。斎藤氏は「県は事後ではなく、事前にやるべきことがあったのではないか」と対応をただした。

 これに対して県の石崎均環境森林部長は、候補地の選定作業で、土砂災害の危険箇所や自然環境保全地域など十種類の資料を環境省に提供したことを明かした。さらに、候補地の評価に当たっては「水道水源や集落への影響などをより重視した方がいい」と助言し、実際に国の選定作業に反映されたとも説明した。

 候補地となった矢板市には事前の告知がなく、市や地元住民から大きな反発を招く結果になったが、県も事前には知らされていなかったと強調。「(混乱の)責任の一端は県にあるか」との問いに、石崎部長は「県に(責任が)あるとは思っていない」と答えた。

 福田富一知事は答弁で、「今日まで終始一貫、処分場設置には地元の理解が大前提と言ってきた。現地の環境影響調査や用地測量といった作業の前に、まずは矢板市とともに国の説明を聞き、意見のやりとりをする必要がある」と述べた。

 この日の県議会一般質問は、今年四月に通年議会が始まって以降、最多の計四百七十四人が傍聴した。このうち、処分場候補地の矢板市からは約二百人。地元の小野崎俊行・塩田行政区長(63)は終了後、記者団に「質問に対する(県の)答えは曖昧。がっかりした」と不満を示した。

 環境省は二十七日、茨城県でも高萩市の国有地を最終処分場の候補地に選定。提示当日まで極秘だった栃木県と違い、一日前の二十六日に明らかになったが、小野崎区長は「一日や二日ずれたぐらいでは、やり方は一緒。事前に知らせても、反対運動は起きる」。

 小野崎区長は候補地の白紙撤回を求める反対組織の会長にも就任している。一般質問での福田富一知事の答弁について「いまだに一度も現地に来ておらず現状を分かっていない」と指摘。「白紙撤回を求め、とことん戦う」と反対姿勢を強めた。



クローズアップ2012:指定廃棄物最終処分場 候補地提示「唐突」、地元の疑心暗鬼(毎日新聞 2012年09月28日 東京朝刊)
 放射性物質を含む「指定廃棄物」(1キロ当たり8000ベクレル超)の最終処分場建設計画が、各地で行き詰まっている。環境省は27日、茨城県の候補地を高萩市にすると提示したが、草間吉夫市長は「断固反対する」と表明した。先に提示した栃木県矢板市も強く反発しており、国が目指す15年3月までの建設は困難とみられる。一方、一時保管施設では環境への影響も懸念されており、地元の不安を解消する国の努力が一層求められる。

 環境省による最終処分場の選定や提示手法を巡って、各県から疑問が相次いでいる。

 「(国は)こういうやり方がいいのか検討したと言っていたが、もう少し丁寧な方がよかった」。茨城県の橋本昌知事は27日夕、環境省に苦言を呈した。県は提示に先立って事前説明を要求していたが、県と高萩市に説明があったのは前日の26日だったからだ。

 環境省は4月以来、一貫して「責任を持って処理する」と説明。候補地の選定過程は明かされず、県が許されたのは4カ所の現地調査への同行だけだった。こうした経緯から橋本知事は「(高萩市が)受ける、受けないを積極的に働きかけるつもりはない」と述べ、あくまで国の責任で対応するよう求めた

 千葉県は柏市などで汚染焼却灰の保管スペースが逼迫(ひっぱく)しており、焼却業務の一時休止も繰り返されている。このため県は6月、我孫子・印西の両市境にある下水処理施設内に一時保管施設の建設を決めたが地元の反対は収まらず、森田健作知事は細野豪志環境相に面会し、「国が最終処分場を造るまでの一時保管」との約束まで取り付けた。

 しかし、期限ぎりぎりの27日になって、同省から「月内の候補地選定が困難」との連絡が入った。県は地元合意を得ないまま施設の工事に着工したばかりで、地元は「計画通り進まないとの心配が的中した」と反発している。

 ◇「調整役」の県、機能果たせず

 調整役を期待された県も機能不全だ。

 「事前に国が候補地を絞り込んでいたことは関知していない」。27日の栃木県議会一般質問。福田富一知事は県の姿勢を問う声に対し釈明した。

 福田知事は国から候補地選定への協力を要請された際に一定の理解を示し、7月には国が他県に先駆け県内市町向けの説明会を開いた。候補地提示へ「地ならし」を行ってきたはずだった。ところが、県が候補地を知ったのは提示当日の3日だった。ある県議は「県は当事者意識に欠けているのではないか」と疑問視する。

 群馬県の大沢正明知事は今年4月、「県内1カ所の新設」を想定して協力要請に訪れた横光克彦副環境相に、一時保管している6市村ごとに新設する「分散建設」の独自案を打ち出した。しかし、6市村にとっては「寝耳に水」。9月13日に撤回に追い込まれた。

 県の提案には「複数の方が地元の理解が得やすい」という思惑があったとされるが、県は撤回後、「もう少し市町村に説明してから決めれば良かった」と非を認めた。

 ◇頭抱える環境省 選定過程非公表があだ

 環境省は最終処分場の建設候補地を、地形・地質、住宅や公共施設、農地からの距離などを点数化し、現地確認をして決定。評価の途中では公表せず、一つに絞った段階で、横光副環境相が自治体を訪れ報告した。「寝耳に水」との批判に、「複数の候補を事前に出すとどこも反対運動が起こり、より調整が難しくなる」と同省指定廃棄物対策チームの担当者は説明する。

 環境省は当初、指定廃棄物の処分は既存施設の活用を想定。しかし、自治体や近隣住民から理解が得られず、一時保管施設などに廃棄物が置かれたままの状況が相次いだ。このため今年3月、自前の処分場がなかったり、処分が行き詰まったりしている自治体を対象に、国有地などの建設場所を12年9月までに選定し15年3月をめどに建設する工程表を公表した。

 「安全面は保証できるので理解してもらえると考えていた。当初思っていた以上に状況は厳しい」と環境省の担当者は頭を抱える。1キロ当たり8000ベクレル超の廃棄物でも、埋め立て終了後の処分場周辺の住民の追加被ばく線量は、健康に対する影響を無視できるレベルの年0・01ミリシーベルト以下にできるとしている。近隣住民には、200メートル四方で深さ10メートルの土地に1キロ当たり10万ベクレルの廃棄物を埋め立てた場合、70メートル離れた屋外で1日当たり4・8時間を過ごさないと追加被ばく線量は一般人の被ばく量の上限年1ミリシーベルトを超えないという。

 不信感を解消する方法はあるのか。島岡隆行・九州大教授(廃棄物工学)は「迷惑施設を建設する場合に、はじめは強い反対があるのは当然。環境省は住民が何を不安に思っているのかアンケートなどを実施して徹底的に調べ、地道に解消する努力をしてほしい」と指摘する。


■ことば

 ◇指定廃棄物

 東京電力福島第1原発事故で発生した1キロ当たり8000ベクレル超の放射性セシウムを含む焼却灰や汚泥などの廃棄物。放射性物質汚染対処特別措置法に基づき、発生した都道府県内で国が処分する。8月3日現在、岩手、宮城、福島、栃木、群馬、茨城、千葉、新潟、東京の計9都県で4万2575トンが指定されている。最終処分場は自前施設がなかったり、処理が滞っている宮城、栃木、群馬、茨城、千葉の5県では新たに造る必要があり、環境省が建設することになっている。


 ◇環境省が示す処分場建設の工程表(時期は目安)

12年4~9月      最終処分場の場所選定

12年10月~13年3月 環境影響調査

             周辺住民への説明

13年4~8月      用地の取得

13年8月~14年11月 造成工事

14年1月~15年3月  処分場工事

14年7月~       廃棄物の搬入(順次)

/*「調整役」の県、機能果たせず*/ ではなく「機能果たさず」でないかい?