昨日、越中・富山の売薬(ばいやく)さんが半年ぶりに我が家を訪れました。


ウチへ来ているのは、吉田快晴堂薬品の吉田社長さんで、吉田さんは滑川市薬業会の副会長もされているのだとか…。


富山の売薬さんは、全国のお得意さんを回ります。この吉田さんも夏になると新潟からフェリーに乗って小樽まで行き、北海道を回ると言っていました。


はじかみ神主のぶろぐ


全国を回る富山の売薬さんは、このような薬箱(配置箱・預箱〔あずけばこ〕)を配置し、次回の訪問時に使用した分の代金を精算し、集金する仕組み(「先用後利〔せんようこうり〕」という)です。


売薬さんが配置した薬は、一般に「置き薬(おきぐすり)」と呼ばれています。


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いろんな種類の薬が入っています。


ワシも、二日酔いの時はお世話になっております。


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昭和レトロというか、意匠の凝ったデザインの薬ですよね。名称も笑えますし!。


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売薬さんは、柳行李(やなぎごうり)を大きな風呂敷に包んで、担いで歩いたものですが、その後バイクとなり、今では車で回っています。


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柳行李は5段重ねになっていて…。


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1番上には、懸場帳(客先名簿のようなもの)・そろばん・筆記用具・財布などを入れ。


2番目には得意先へのおみやげ品を。


番目に得意先で使われなかった古いクスリを。


番と5番目には得意先に預ける新しいクスリを入れました。


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そして、今も昔も変わらぬものは、おみやげの、この四角い紙風船です。


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現代っ子用に、ゴム風船も用意してるようですが…。


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やっぱり、四角い紙風船ですよね!。子供の頃は、これを貰うのが楽しみでした。


1個だけ小さな丸い穴があいていて、そこから口で空気を入れて膨らますんですが、すぐに破れたものです。


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配置売薬の歴史は元禄3年(1690)に遡(さかのぼ)ります。百万石の加賀藩から分封した、支藩の富山10万石2代藩主・前田正甫(まえだまさとし)公が江戸城に登城した折、陸奥三春藩(みつはるはん=福島)5万石の3代藩主・秋田輝季(あきたてるすえ)公が激しい腹痛を訴えて倒れておりました。


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正甫公が持参していた「反魂丹(はんごんたん)」を与えると、たちどころに腹痛は治癒(ちゆ)しました。並み居る諸大名がその偉効に感服し、自分の領内での販売を望んだといいます。


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正甫公の命で諸国に行商させたのが富山売薬のはじまりで、やがて配置売薬に代わっていきました。文久年間には売上げ20万両、行商2,200人に達し、昭和9年の行商人14,160人がピークであったそうです。


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でも、「越中富山の反魂丹 はなくそ丸めて萬金丹 それをのむ奴ぁ あんぽん丹」なんて言いましたよね。


で、昔から売薬さんにとって、命の次に大事なものは、この「懸場帳(かけばちょう)」です。


懸場(かけば)とは、それぞれの売薬さんが行商した区域のことを言います。懸場帳は、自分の受け持った区域のお客さんの情報が書いてあるもので、行商の際には必ず携行しました。


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懸場帳には、お客さんの住所や氏名や家族構成、販売した配置薬の種類や、売上げ高や集金高、いつ訪問したのかなどの情報が事細かに書き留められており、非常に大切なものなのです。

そのため、商売を辞める売薬さんの懸場帳は高額で取引されました。現在の懸場帳は柳行李(やなぎごうり)に入れないで、別のアタッシュケースにおさめられています。


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驚いたのは、携帯情報端末(PDA)を駆使して情報処理をおこなっていることです。

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顧客のバーコードや商品(薬)のバーコードをPDAより赤外線通信により、またたく間にモバイルプリンターより清算書が印刷されてきます。


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もちろん、PDAの情報はパソコンへ、そして、パソコンからホストコンピューターへとネットワークが構築されているのです。これで顧客管理や経理、薬の在庫管理など一目ですね。


ソフトを開発したのは金沢の会社で、月2万円のリース料を支払っているのだとか。



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まさに、21世紀の懸場帳ですね!。さすが、商魂たくましい「越中さ(えっちゅうさ)」です。


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