最後尾からブルデー、圧巻の勝利(インディカー第1戦:セントピーターズバーグ) | 日日不穏日記・アメブロ版

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 インディカーシリーズ開幕戦:セントピーターズバーグが始まった。冒頭の天野さんのレポートへの質問で雨について聞かれたものの、その時点で快晴。

 

 事前のロングビーチは4月9日と1月近く間が空く。天野さんは一度帰国して、第4戦のフォンタナか、第5戦のマーティンズビルでNASCAR中継の解説をするかもしれん。去年はフォンタナだったかな。

 

 スタートコマンドは、元NFLプレイヤーでマーク・シュレレス(スーパーボウルを3回制したという/現ESPNのテレビ解説者)が、ガタイ同様の迫力十分のコールに観客席が沸く。

 

 セントピータズバーグ市街地コースは、1.8マイル(2.89キロ)のコースをターンが14。110LAPで、ピットウィンドウは、30LAP。4ストップ3スティントのレースになる。

 

  PPは、2年連続7回目のウィル・パワー(昨年は、体調不良で出走せず、代打をオリオール・セルビアが務めた)で過去2勝(2010年、14年)。

 

  2位にスコット・ディクソン、以下、ジェームス・ヒンチクリフ、ジョセフ・ニューガーデン、佐藤琢磨のトップ5。2連覇していたファン・パブロ・モントーヤは、ペンスキーからのフル参戦を取りやめ、代わりのカーナンバー2には、ニューガーデンが。

 

 モントーヤは、インディGPとインディ500の2戦のみ、ペンスキーからのスポット参戦が決まっている。

 

 レースがスタートし、パワーがトップを守る中、琢磨選手は4位に浮上。一方、チームメイトのライアン・ハンターレイはスタート出来ず、大きく出遅れ。

 

 そして、いきなりOPラップで、インに飛び込んだチャーリー・キンボールとグラハム・レイホールが接触。キンボ―ルがレイホールに突っ込んだように見えたが、明らかにレイホールがインに寄せており、キンボールは行き場をなくし、ウォールにヒット。

 

 そして、カルロス・ムニョスのマシンに乗り上げるようにクラッシュ!いきなりコーションとなる。

 

 6LAP、パワー、ヒンチクリフ、ディクソン、琢磨、ニューガーデンのトップ5でリスタート。すぐにヒンチクリフがトップに浮上。そして、ブレーキトラブルでクラッシュ、ノータイムで予選最下位のセバスチャン・ブルデーが13位にまで上がってきている。

 

 ヒンチクリフは瞬く間に4秒以上にリードを広げ、トップを快走。15LAPにパワーがピットイン。3ストップでは燃料が足りない。何が起きたのか?

 

 さらにパワーは、ピットでコードを踏んでしまい、ピットスルーペナルティ。18位にまで落ちてしまった。これは痛い!

 

 18LAP、ディクソンが3.470秒、琢磨5.061秒、トニー・カナーンが9.314秒差で、ディクソンがじわじわとヒンチクリフとの差を縮めてゆく。

 

 24LAP、ブルデーがレッドからレッドへ、25LAPにカナーン、パジェノー、マルコ・アンドレッティが同時にピットイン。が、ここでカナーンが2台に先行され、一時は琢磨選手に迫っていたカナーンはずるずると後退。

 

 さらに焦ったか、カナーンは、迫ってきたミカエル・アレシンのマシンに寄せてしまい、接触。リアウイングを破損、2回目のコーションの起因となってしまう。

 

 ここでピットに入っていないトップ勢が一斉にピットイン。ここでレースは大きく動く。アンダーグリーンのピット組がステイアウトし、シモン・パジェノーがトップとなり、ブルデー、マルコ、エド・ジョーンズ(ルーキー)らが上位を占め、ピット組は、10位、ヒンチクリフ、ディクソン、琢磨と続いている。

 

 序盤にパジェノーをパスするなど健闘していたスペンサー・ピゴットは、ドライブシャフトのトラブルでレースから脱落。

 

 31LAPリスタート。32LAPには琢磨は7位までジャンプアップ。ピット組の中では、一気に順位を上げ、ヒンチクリフ、ディクソンを後方に従えている。

 

 

 37LAP、ブルデーがパジェノーをパスしてトップに立つと、その差は一気に広がってゆく。一方、パワーは47LAPでピットイン。1回目のピットから考えるとルーティンだが、どう考えても燃料がショート。

 

 54LAP、ブルデーとパジェノーの差は1、973秒とかなり縮まったが、ジョーンズは16.065秒、琢磨は18.988秒、ハンターレイは23.211秒と差は広がり、このままアンダーグリーンが続けば、ブルデーとパジェノーの一騎打ちになるのは明らかだ。

 

 ブルデー以下、トップ勢が続々ピットイン。もうコーションによるピットタイミングのズレは殆ど関係なくなっている。

 

 65LAP、ブルデーとパジェノーは6.527秒と再び大差がつき、パワーが19.667秒、琢磨21.511秒、ジョーンズが25.655秒となっている。

 

 解説席からは、琢磨選手がパワーを早くパスして、パジェノーを追撃した方がいい、というが、78LAPにパワーがピットへ。どう考えても、コーションなしでは走り切るのは無理。労せずして琢磨選手が3位に上がっている。

 

 81LAPに4位のディクソンがピットイン、そしてトップ勢が続々とピットに向かう中、83LAPにブルデーがピットイン。予選を走れなかった分、ニューレッドがあり、すかさず交換。これでもう万全だ。

 

 直後に琢磨選手もピットイン。が、ホイールガンのトラブルで左フロントタイヤが外れず大きくタイムロス。レース後の琢磨選手のインタヴューでは12秒ものタイムロスであったという。ジャッキを改めて上げるなど対応に追われ、表彰台圏内から5位にまでポジションダウンしてしまう。

 

 84LAPにブルデーはパジェノーに3.838秒、パワーと28.736秒、ディクソンと35.716秒、琢磨と38.637秒の大差。

 

 が、91LAPにパワーがディクソンにパスされ、琢磨も続き4位に戻る。と言うか、パワーがあまりに遅く、後続集団に一気に抜かれ、ブラッグフラッグを出される屈辱。ピットに一度入ったものの、99LAPでストップしているから、燃料だけでなく、何らかのトラブルを抱えていたのだろう。

 

 一度はトラフィックで迫ったパジェノーだが、再び、ブルデーは引き離しにかかり、そのままトップでチェッカー。KVレーシングから、デイルコインレーシングに移籍した初戦で、最後尾からまさかまさかの優勝。

 

 通算36勝目で、現役ではディクソンの39勝に迫る成績だが、その大半はチャンプカーでのもので(31勝)、インディカーシリーズでは5勝に留まる。とは言え、トップチームとは言えないポジションで最近は勝利を重ねており、評価が高まっているところ。

 

 チャンプカー時代に黄金時代を築いたエンジニアもチームに迎え、この速さ。今シーズンの台風の目になるかもしれない。

 

 ディフェンデングチャンピオンのパジェノーは2位、ディクソンは3位、最後にプッシュ・トゥ・パス(今年は回数ではなく、時間で決まる)を使い切ってしまった琢磨選手は、最後にハンターレイにパスされ、5位に終わった。

 

 良いことも悪いこともあった開幕戦。ただ、名門、アンドレッティでの初戦を良い形で終えたのだから、ヨシとすべきなのかもしれない。