Favorite 絵本 『 モグラくんとセミのこくん 』 by ふくざわゆみこ/友情と別れと | 俳句でDiary ─ できるかな?

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私の俳句 萌え萌え日記

8月ももうお仕舞いですね。蝉の声ももう殆ど聞こえなくなってしまったし・・・。

今日は少々迷い、新しいカテゴリを追加しました。絵本です。たかが絵本とあなどるなかれ。

子ども向きであっても、案外オトナが読んでも楽しめるかもしれませんよ。

─── さて、今日の絵本の主人公は土の中に住むモグラ君、そして・・・?

もぐら
【画像引用/モグラくんとセミのこくん/ふくざわゆみこ/福音館/表紙絵より一部引用】



今日はちいさな子ども(3歳~小学校初学年)のための絵本です。

たまたま知人宅で、幼稚園児のお孫さんの一番お気に入りがこの絵本だと知らされ、私も興味を

持って手に取ってみました。


著者はふくざわゆみこ氏。私は余り詳しくないのですがベテランの絵本作家さんみたいね。

─── あなたは御存知かしら?


┏━ ◆ 絵本作家 ふくざわゆみこのHPより ◆ ━━━━━━━━━┓


   日々ぼーっと浮世離れした視線で暮らしているとなんとなく気になってくる、
 
   あまり役に立たないあれやこれやをお話と絵の中に表現できたらいいなと思っています



┗━━━━━━━━━引用:http://fuyu.moo.jp/atelierfuyu/index.html━━━━┛



さて、モグラくんは分かるけど、”セミの子”? ああ、蝉の幼虫のことね。

幼虫時代は7年間土の中で過ごしながら脱皮を繰り返し、最後は土中から出て羽化するんだよね。

セミの羽化


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物語はとてもシンプルです。主人公(?)で土の中に住んでいるモグラ君が、偶然セミの子君に

出合い仲良くなって一緒に暮らし始め、そうして成虫になるセミ君と別れを迎えるお話です。

もぐら4
【画像引用/モグラくんとセミのこくん/ふくざわゆみこ/福音館/一部引用】



出会いは偶然であっても、この二人(?)は仲良しに。モグラ君のおうちは住み心地が良さそうね

もぐら5
【画像引用/モグラくんとセミのこくん/ふくざわゆみこ/福音館/一部引用】



寒い冬は土の中でふかふかの木の葉のお布団にくるまって、一緒に眠るのよ。

もぐら6
【画像引用/モグラくんとセミのこくん/ふくざわゆみこ/福音館/一部引用】



そうして、温かな春になれば元気いっぱい仲良く一緒に遊びます♪

もぐら7
【画像引用/モグラくんとセミのこくん/ふくざわゆみこ/福音館/一部引用】



けれども、この二人は同じ生き物ではありません。夏の或る日、セミの子君は・・・

脱皮1
【画像引用/モグラくんとセミのこくん/ふくざわゆみこ/福音館/一部引用】


そう、蝉は毎年脱皮して少しずつ大きくなっていくのね。そうしていずれは・・・

もぐら8
【画像引用/モグラくんとセミのこくん/ふくざわゆみこ/福音館/一部引用】



次の年の夏、眠るように動かなくなってしまったセミの子君。

もう、土の中にはいられない時期が来たのです。いよいよお別れの季節がやってきました。

もぐら9
【画像引用/モグラくんとセミのこくん/ふくざわゆみこ/福音館/一部引用】



無事に羽化したセミの子君は立派な蝉になり、朝の静けさを破るような元気な声で鳴き始めます

もぐら10
【画像引用/モグラくんとセミのこくん/ふくざわゆみこ/福音館/一部引用】



─── モグラ君はまたひとりぼっちになりました。元気な蝉君の声を聞きながら、ひとりで

タンポポのお茶を飲んでいるシーンで、このお話は終わります。

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お話では性別も定かではないけれど、男の子でも女の子でもどちらでもよいかもしれません。

ひょっとしたら、”ボーイ・ミーツ・ガール”のお話かもしれないしね。


この絵本の最初と最後のページはよく似た絵で、モグラ君がひとりでお茶を飲んでいるの。

けれども、心は同じではありません。別れを知る前と知ったあとでは・・・

最後のページ
【画像引用/モグラくんとセミのこくん/ふくざわゆみこ/福音館/一部引用】



どんなに仲良くしていても、モグラ君は大人になったセミ君と・・・多分、もう会えない。

それに、セミ君のいのちはこのひと夏にも満たないほどに短いのだし、ね。

他愛も無いような子ども向けのお話だけど、とてもとても深いものがあり、そして悲しい。


ちいさな子どものためのお話ではありますが、これは出会いと別れの物語。

さまざまな文学作品でも取り上げられる古典的テーマでした。



モグラ君はまたひとりぼっちになってしまったけれど、思い出は残るよね、きっと。

夏の陽光のようにキラキラとした思い出は決して失われることなく、いつまでもいつまでも・・・。


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ひとつの季節の終わり、別れをひしひしと感じる今日この頃には、ふさわしい物語かも?と感じ

紹介してみました。ちょっぴりセンチメンタルな記事になってしまいましたが、これで終わりましょう。


物語ページを閉じて夏の果て      灰色の猫


それでは今日はこの辺で・・・またね。


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