厚生労働省は、7月15日、2013年 国民生活基礎調査の結果を公表した。(ケアマネジメントオンライン)

国民生活基礎調査は、保健、医療、福祉、年金、所得などの国民生活の基礎的事項を調査し、厚生労働行政に必要な基礎資料を得ることを目的に毎年実施する。
2013年度は3年に一度行う大規模調査の実施年にあたり、世帯票・健康票、所得票・貯蓄票、介護票別に調査し、集計した。

介護票は、約7000人を対象に介護が必要な者の性別と出生年月、要介護度の状況、介護が必要となった原因、介護サービスの利用状況、主に介護する者の介護時間、家族等と事業者による主な介護内容などを調査した。

同省では、調査結果の総括として高齢者に関係の深いものでは、「高齢者世帯が全世帯の23.2% (2010年の前回調査は21.0%) 」となったこと、「65 歳以上の同居の主な介護者が65 歳以上の要支援・要介護者を介護する割合が51.2%(前回調査は45.9%)」となったことをポイントにあげている。

国民生活基礎調査から介護についての結果を紹介する。

■要支援・要介護者がいる高齢者世帯が増加
介護保険法の要支援・要介護と認定された者のうち、在宅の者のいる世帯を世帯構造別(単独世帯・核家族世帯・三世代世帯・その他の世帯)でみると、「核家 族世帯」が35.4%で最も多く、そのうち夫婦のみの世帯は 21.5%だった。「単独世帯」は27.4%、「三世代世帯」は8.4%だった。
また、高齢者世帯で見た場合、要支援・要介護者のいる世帯は50.9%で、前回調査の47.0%より3ポイント以上増加した。

また、要介護度の状況を世帯構造別にみると、「単独世帯」では要介護度の低い者のいる世帯の割合が高く、「核家族世帯」「三世代世帯」では要介護度の高い者のいる世帯の割合が高くなった。

■要支援・要介護者は、男性は80代前半・女性は80代後半が多い
要支援・要介護者の年齢を年次推移でみると、年齢が高い階級が占める割合が増加しており、2013年の年齢を性別にみると、男は「80~84 歳」の25.4%、女は「85~89 歳」の26.8%が最も多くなった。

介護が必要となった主な原因を要介護度別にみると、要支援者では「関節疾患」が20.7%で最も多く、次いで「高齢による衰弱」が15.4%。要介護者では「脳血管疾患(脳卒中)」が21.7%、「認知症」が21.4%だった。

■70代の介護は、約半数が「老々介護」
主な介護者をみると、要支援・要介護者と「同居」が61.6%で最も多く、次いで「事業者」が14.8%となった。
「同居」の主な介護者との続柄をみると、「配偶者」が26.2%で最も多く、次いで「子」が21.8%、「子の配偶者」が11.2%となった。
また、「同居」の主な介護者を性別にみると、男31.3%、女68.7%で女が多い。年齢階級別にみると、男女ともに「60~69 歳」が27.7%、32.5%と多くなった。

同居の主な介護者と要支援・要介護者の組み合せを年齢階級別にみると、要支援・要介護者が「70~79歳」では、「70~79歳」の者が介護している割合 が50.6%、要支援・要介護者が「80~89歳」では、「50~59歳」の者が介護している割合が29.9%で最も多くなった。
年次推移をみると、60歳以上同士、65歳以上同士、75歳以上同士の組み合せにおいていずれも上昇傾向となっている。

■同居している介護者は、女性ほどストレスが高い
同居の主な介護者の介護時間を要介護度別にみると、「要支援1」から「要介護2」までは「必要なときに手をかす程度」が多くなっているが、「要介護3」以上では「ほとんど終日」が最も多くなった。

同居の主な介護者について、日常生活での悩みやストレスの有無をみると、「ある」69.4%、「ない」27.7%となっている。性別にみると、「ある」は男62.7%、女72.4%で女性が高くなっている。
日常生活での悩みやストレスが「ある」と回答した者の悩みやストレスの原因をみると、男女ともに「家族の病気や介護」が72.6%、78.3%と高く、次いで「自分の病気や介護」が26.7%、28.8%となった。

■介護サービスの利用は単独世帯・三世代世帯で高い
2013年5月中の介護サービスの利用状況をみると、要支援者・要介護者のうち介護サービスを1種類でも利用した者は78.9%で、世帯構造別にみると、 「単独世帯」が84.2%で最も高く、次いで「三世代世帯」が80.8%となっている。介護サービスの種類別にみると、「単独世帯」では、「訪問系のサー ビス」が70.5%で最も多く、「配食サービス」の割合も11.6%と他の世帯構造に比べて高くなっている。

介護サービスを利用しなかったのは全体では21.1%だが、核家族世帯は25.4%、そのうち夫婦のみの世帯は25.5%で、介護サービスを利用せずに介護している配偶者が少なくないことがわかった。

同じく5月中の介護サービスの利用の有無を要介護度別にみると、「利用あり」は「要支援者}が66.9%、「要介護者」が85.5%となっている。このう ち、訪問系・通所系・短期入所・居住系サービス・小規模多機能型サービスなどをいずれも利用していない者の利用しなかった理由をみると、「家族介護でなん とかやっていける」が最も高く、要支援者が44.5%、要介護者が47.1%となった。

要支援・要介護者が家族・親族などや訪問介護事業者から受けている16項目の介護内容について、介護者の組み合せの状況をみると、「事業者のみ」の割合が 多いのは「入浴介助」の64.1%、「洗髪」の63.5%となっている。「主な家族等介護者のみ」による介護の割合は、「入浴介助」「洗髪」「身体の清 拭」以外のすべての項目で最も多くなった。
また、「事業者と家族等介護者」による介護の割合は、「排泄介助」が20.6%と高くなった。

◎厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/