特別養護老人ホーム(特養)への入所待ちをしている人(待機者)の数が最近の約4年で約10万人増え、52万人余りに達していることが、厚生労働省の調査で分かった。介護保険施設にも医療機関にも入らず、自宅などで入所待ちをする重度の要介護者(要介護4-5)は、約4年で約2万人増加していた。厚労省では、調査の元データの一部には、一人が複数の施設に入所を申し込む「重複分」がそのまま集計されていることから、「この数字がそのまま待機者の数とは考えにくい」としながらも、待機者の増加に対応するため、特養の入所者を中重度の要介護者に限定するなどの対策が必要としている。

 厚労省では今年3月、各都道府県を通じて、待機者の数を集計した。

 その結果、全国で52.2万人の待機者がいることが判明した。待機者を要介護度別に見ると、「要支援1から要介護2」は17.8万人、「要介護3」は12.6万人、「要介護4から5」は21.8万人となった。約4年前の調査と比較して、全体の待機者は10.1万人増えていた上、中重度(要介護3-5)の待機者は5.5万人、重度の待機者は3.9万人増加していた。

 さらに、重度の要介護者のうち、自宅などの在宅で入所待ちしている人は8.6万人で、約4年前の調査と比較して1.9万人増えていた。

 この結果について厚労省は、一部の都道府県では、一人で複数の施設に申請した申し込みや、既に他の施設に入所した人の申し込みなどもそのまま集計している上、将来の不安から申請した人の申し込みも含んでいるため、「調査結果の数字は、今すぐ入所が必要な人の数を、そのまま表しているとは考えにくい」(高齢者支援課)としている。その一方、特に在宅で生活する重度の待機者が約4年前から約2万人増えた点を問題視。「特養を増やすだけでなく、入所を中重度の要介護者に限定したり、在宅の介護のサービスを充実させたりするなどの工夫が必要」(同)としている。(CBニュース)