要支援者を対象とした通所介護や訪問介護の市町村事業への移行について、実施は不可能と考える保険者が3割余りあるとする調査結果を、中央社会保障推進協議会(中央社保協)が25日までにまとめた。日本医療労働組合連合会(日本医労連)や全国保険医団体連合会(保団連)などとの合同記者会見で発表した。調査では、人員不足や財源確保の難しさから、移行を不可能とする意見が多く寄せられたという。


 中央社保協では、昨年11月中旬から12月初めにかけて、都道府県の社保協を通じ、全国の保険者にアンケート調査を実施。22都道府県637保険者から回答を得た。

 要支援者を対象とした通所介護や訪問介護の市町村事業への移行について、可能かどうかをたずねた質問では、「可能」と答えた保険者は111か所(17.4%)にとどまった。一方、「不可能」と答えた保険者は205か所(32.2%)あった。そのほかは、「判断不可」が251か所(39.4%)、「回答なし」が70か所(11.0%)だった。

 「不可能」と回答した保険者からの自由回答では、「(経過措置の)3年という短期間での体制整備は人的、財政的にも困難」「市の財政上難しいと考える」「専門職をはじめ人材が不足している」など、人員不足や財源確保の難しさを不可能と考える理由にあげる保険者が多く見られた。また、「NPO、ボランティアなどの受け皿が確保できない」「地域のマンパワーを活用できる環境が整っていないため、対応の見通しが立たない」など、NPOやボランティアの積極活用が提言されている点を課題とする意見もあった。

■一括法案の成立阻止目指した「ヒューマンチェーン」を実施へ

 記者会見では、日本医労連が▽介護施設における夜間勤務の9割超は、長時間の連続業務を強いられる2交替制▽規模が小さな施設では1人夜勤が常態化しているーなどとする介護施設における夜勤の実態調査の結果を発表。保団連は、2014年度診療報酬改定で「在宅時医学総合管理料」や「特定施設入居時等医学総合管理料」に盛り込まれた同一建物居住者に対する大幅な減算の中止を求める方針を示した。

 また、済生会栗橋病院の本田宏院長補佐や、「認知症の人と家族の会」の勝田登志子副代表らは、「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律案」(医療介護制度改正の一括法案)の成立阻止などを求めた「輝け! いのち4・24ヒューマンチェーン」を実施することを明らかにした。(CBニュース)