厚生労働省は21日に開かれた全国厚生労働関係部局長会議で、介護保険料の自己負担割合について、「年金収入が280万円以上」の人は、現在の1割から2割に引き上げる方針を示した。一定所得以上の人の自己負担割合引き上げは、介護保険法改正に合わせ、来年4月に実施される見通し。

 昨年12月20日に取りまとめられた社会保障審議会介護保険部会の「介護保険制度の見直しに関する意見」では、費用負担を公平にする観点から、一定以上の所得がある高齢者について、介護保険の自己負担割合を1割から2割に引き上げることが盛り込まれている。ただ、2割に引き上げる基準については、▽年間合計所得金額160万円、年金収入の場合280万円以上▽年間合計所得金額170万円、年金収入の場合290万円以上―など複数の案が示されていた。

 21日の部局長会議で、介護保険制度改正の方向性などについて説明した同省老健局の原勝則局長は、引き上げの基準案のうち「年間合計所得金額160万円、年金収入の場合280万円以上」を軸に与党と調整する考えを示した。

 この基準で線引きすると、65歳以上の被保険者の5人に1人が2割負担の対象となる。ただし、要介護者の所得は、被保険者全体の所得に比べて低い傾向にある。そのため厚労省では、負担割合が引き上げられる要介護者の割合は、在宅サービス利用者の15%、特養入所者の5%程度と見込んでいる。

■福島被災地への介護職員の応援派遣、1年延長

 原局長は、福島県双葉町など、同県沿岸部の介護保険施設では、福島第1原子力発電所の事故の影響で人材不足が続いていると指摘。その上で、これらの地域に対する近隣地域からの応援職員の派遣について、事業期間を1年間延長し、来年3月末まで実施するとした。また、事故発生後から行われている避難指示区域などの住民に対する介護保険料の免除などについては、来年度も継続する方針を示した。(CBニュース)