介護職員処遇改善加算が基本給に反映されている従事者は、全体の1割にも満たないことが、UAゼンセン日本介護クラフトユニオン(NCCU)の調査で分かった。さらに同加算が賃金に反映されていない従事者が、月給制・時給制とも1割前後いることも明らかになった。

 調査は昨年9月、全国のNCCU組合員を対象に実施。月給制従事者1927人(回収率59.3%)、時給制従事者1591人(同48.9%)から回答を得た。

 介護職員処遇改善加算の申請をしている事業所の従事者に、加算がどのように賃金に反映されているかを複数回答で尋ねたところ、「基本給に入っている」と回答した人は、月給制の職員で4.9%、時給制の職員で9.7%にとどまった。最も多かった回答は「手当として入っている」(月給制の35.1%、時給制の37.0%)で、次いで多かったのは「一時金として入っている」(月給制の27.4%、時給制の26.3%)だった。

 一方、「支払われていない」と答えた人が月給制で13.8%、時給制で8.5%いたほか、「(加算がどのように反映されているか)わからない」と答えた人も月給制で12.5%、時給制で11.3%いた。

 また、介護職員処遇改善加算について、知っているかどうかを尋ねた質問では、「知らない」と答えた職員が月給制では14.3%、時給制では34.6%いた。

 この結果について、NCCU政策部の村上久美子部長は、不足する介護人材の確保のためにも基本給をアップさせる施策が不可欠と指摘。「そのためにも2015年4月に予定される介護報酬改定では、介護職員処遇改善加算分の予算枠を確保し、基本報酬に組み入れる必要がある」としている。

■平均給与は上昇傾向

 また、昨年8月の平均月収額は、月給制従事者全体が21万3146円で、同年3月の21万396円から2750円(1.3%)増加。時給制従事者全体では12万8317円(同年3月比4.6%増)だった。

 月給制従事者の平均月収額を職種別に見ると、訪問系介護員が18万9775円(同1.1%増)となったほか、施設系介護員では入所型が18万5516円(同2.6%増)、通所型が17万6696円(同1.6%増)となった。ケアマネジャーは26万9835円(同0.8%増)、生活相談員は20万2907円(同0.9%増)、看護師は25万2062円(同1.7%増)、訪問系管理者は24万9929円(同2.0%増)、入所型の施設系管理者は26万773円(同1.7%増)、通所型の施設系管理者は24万836円(同0.9%増)。一方、サービス提供責任者は19万7959円(同0.1%減)だった。

 ほぼすべての職種の給与が上昇傾向にある理由について、村上部長は「処遇改善を目指す政府のてこ入れが一定の効果を上げていることと、ある程度の給与を提示しなければ、人材を確保できない状況にあることが、影響したのではないか」と話している。(CBニュース)