◇預貯金が夫婦2000万円超で「補足給付」対象外も

 厚生労働相の諮問機関、社会保障審議会介護保険 部会は20日、介護保険 制度改革に関する意見書を了承した。一定以上所得のある人に対し、自己負担割合(現在一律1割)を2割に引き上げることや、軽度の「要支援1、2」の人へのサービスのうち、訪問介護(家事援助などのホームヘルプ)と通所介護(入浴などのデイサービス)は全国一律のサービスをやめ、3年で市町村事業に移すことなどを盛り込んでいる。

 厚労省は意見書を基にした介護保険 法改正案を来年の通常国会に提出する。改革案はいずれも2015年度からの実施を想定している。

 2割負担を求める対象者について、厚労省は65歳以上の上位20%の所得層に当たる「年金収入で年間280万円以上」(40万~50万人)の人とする方針を固めている。さらに単身で年金収入が383万円以上あれば、1カ月の自己負担限度額(現在3万7200円)を医療と同じ4万4400円にアップする。

 意見書は、特別養護老人ホーム(特養)など介護施設に入る低所得者に食費と入居費(家賃)を補助する「補足給付」に関し、預貯金が夫婦で2000万円(単身者は1000万円)超の世帯を給付対象外とすることや、特養の入所者を原則として、中・重度の「要介護3」以上の人に限る方針も打ち出している。(毎日新聞)

 ◇社会保障審議会介護保険部会の意見書骨子

・一定以上所得がある人の自己負担割合(現在一律1割)を2割に

・預貯金が夫婦で2000万円(単身者は1000万円)を超すと、低収入でも介護施設入所時の食費と入居費の補助はなし

・特別養護老人ホームの入所を原則「要介護3」以上の中・重度に限定

・軽度の「要支援1、2」の人への訪問・通所介護サービスを新たな市町村事業に移し、費用の伸びを管理

・2018年度には全市町村が認知症対策を包括的・継続的に実施できる体制を整備

・65歳以上の低所得者向け保険料軽減措置を拡充

・サービス付き高齢者住宅への越境入居者には、入居前住所の市町村が介護を提供