全日本民主医療機関連合会(全日本民医連)は、社会保障審議会介護保険部会で予防給付の一部を市町村の事業に移行することが検討されていることを受け、要支援者らの給付管理を手掛けるケアマネジャーを対象にアンケート調査を実施した。調査では、自治体事業への移行に伴いサービス水準が下がった場合、買い物ができなくなったり、要介護度が上がったりする要支援者が出ると考えるケアマネジャーが半数以上に達した。

 厚生労働省は、介護予防給付の約6割を占める通所介護と訪問介護を市町村の事業に移行することを介護保険部会に提案している。

 この案について全日本民医連では、見直し後、現行の予防給付の内容や水準が維持されるとは想定されないとして、現状のサービスが削られたり、利用できなくなったりした場合、要支援者やその家族の生活にどんな影響が及ぶかについてアンケート調査を実施した。

 調査は9月から11月にかけて、予防給付の管理を担当しているケアマネジャーを対象に実施。914件の有効回答を得た。全日本民医連では、914件のうち、市町村事業への移行が検討されている通所介護と訪問介護を扱う767件について分析を行った。

 「本人の状態・病状について予測される具体的な変化」について複数回答で尋ねた質問では、「外出などの機会が減り、閉じこもり気味になる」と考えるケアマネジャーは66.4%に達した。また、「日常生活ができなくなり、介護度が上がる」と回答したケアマネジャーも60.8%いた。

 「社会生活への適応」についての質問(複数回答)では、「買物ができなくなる」と考えるケアマネジャーが50.3%いたほか、「外出ができず集団への不適応が起こってくる」と予測するケアマネジャーも42.9%いた。

 全日本民医連では、この結果を受け、▽すべての要支援者が在宅生活を継続できるよう、予防訪問介護、予防通所介護を市町村事業に移し替える改正案を撤回する▽予防給付全体の拡充を図る▽低所得者の利用料負担の軽減▽要介護認定制度の抜本改善―を厚労省に求める方針という。(CBニュース)