厚生労働省老健局振興課の朝川知昭課長は4日、全国老人福祉施設協議会(全国老施協)の総会で、介護保険制度の運用における自治体独自の「ローカルルール」について、「(悪質なルールの横行を防ぐため、国として)自治体にアドバイスしたり、事例集を作成したりすることも必要」と述べた。次の介護保険制度改正では、自治体の役割と責任が重くなる可能性が高いことを踏まえた発言。また、各地で生活支援などに関するサービスを創出するため、財源を確保する方針も示した。

 総会では、社会保障審議会介護保険部会で検討されている次の介護保険制度改正の方向性などについて、朝川課長と淑徳大の結城康博教授が対談した。


■生活支援サービスなど創出に向け、財源確保の方針も


 要支援者向けの通所介護と訪問介護を自治体の事業に移行し、配食や見守りなどの生活支援サービスも含んだ「介護予防・生活支援サービス事業」の創設が検討されている点について、結城教授は、サービス提供体制に地域格差が生まれる可能性があると指摘。朝川課長もその可能性が「懸念される」とした上で、財源を確保し、生活支援サービスなどを創出することに力を入れる方針を示した。

 また、結城教授は、要支援者にサービスを提供していた通所介護や訪問介護の事業所が、自治体事業への移行を受け、撤退してしまう可能性があると指摘。これに対し、朝川課長は「(業者が撤退しないよう)専門職によるサービスには、それに応じた単価を設定することを、市町村に向けたガイドラインに盛り込む」と述べた。

 さらに朝川課長は、市町村の担当者らの力量に格差があるのは事実とし、「介護保険制度が誕生した当初、各自治体が優れた職員を(介護関連の部署に)配置したように、優秀な職員を配置するようお願いしていきたい」と言及。自治体の権限が広がることで、悪質なローカルルールが横行しかねないとする結城教授の指摘に対しては、「そうしたことが起きないよう、自治体に向けたアドバイスや、事例集作成などの取り組みも併せてやっていかなければならない」と述べた。(CBニュース)