11月27日、社会保障審議会介護保険部会 (山崎泰彦・部会長 以下、部会)の第53回 が開かれ、「介護保険制度の見直しに関する意見」の素案(資料1 )が公表された。

部会は社会保障制度改革国民会議報告書 (首相官邸)に沿って議論が進められ、臨時国会(第185回国会)に提出されているプログラム法案 (持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律案)とも連動する。

部会の素案はプログラム法案と共通する4項目のほか、下記の8項目を挙げている。

部会素案の独自項目
5. 地域支援事業の再編
6. 小規模デイサービスの地域密着型サービスへの移行
7. 住宅改修の事業者登録制の導入
8. 居宅介護支援事業所の指定権限の市区町村への委譲
9. 特別養護老人ホーム利用者は要介護3以上に限定
10. サービス付き高齢者向け住宅の住所地特例適用
11. 介護サービス情報公表制度の見直し
12. 2025年度までの介護保険事業計画の策定

報道では「高額所得者『2割負担』明記 介護保険、対象基準は示さず 社保審素案 」(2013.11.25時事通信)、「社会保障審 介護保険の自己負担2割に 高所得者対象 」(2013.11.27毎日新聞)など、「一定以上所得者」の利用料を2割負担にすることに注目が集まる。

部会は今回の委員の意見などをまとめて、12月20日に「介護保険制度の見直しに関する意見」を確定し、厚生労働大臣に答申する予定だ。厚生労働省は答申を受け、来年1月からはじまる通常国会に介護保険法改正案を提出する。改正案成立後、社会保障審議会介護給付費分科会(田中滋・分科会長)で第6期介護報酬が検討され、2014年末には答申が行なわれる予定だ。

介護保険制度の「充実」と「重点化・効率化」
部会に先だつ11月21日、厚生労働省老健局は全国介護保険担当部(局)長会議 (以下、担当者会議)を開いた。
第6期(2015~2017年度)に向けた見直しの議論は、消費税の段階引き上げに伴う社会保障制度全般の見直しとして国民会議が示した「充実」と「重点化・効率化」に従うものと整理されている。

「充実」させるのは「地域包括ケアシステムの構築に向けた地域支援事業の見直し」と「保険料の負担の増大の抑制」で、「重点化・効率化」するのは「介護サービスの効率化・重点化」と「所得や資産のある人の利用者負担の見直し」になる。

■盛りだくさんの包括的支援事業
部会の素案で特徴的なのは、「充実」のポイントが地域支援事業の包括的支援事業に集中していることだ。
制度改定のキャッチフレーズである「地域包括ケア」を進めるため、包括的支援事業に「在宅医療・介護の連携」と「認知症施策の推進」、「地域ケア会議の義務化」、「生活支援・介護予防の充実」の4項目が追加される。

また、介護予防サービスのホームヘルプ・サービスとデイサービスを給付からはずし、介護予防事業(認定非該当高齢者が対象の訪問型・通所型サービス)と合体する「介護予防・生活支援サービス事業」も担当する。
なお、介護予防事業の元気高齢者を対象とする一次予防施策は「一般介護予防事業」と名称を改めることが提案されている。「介護予防・生活支援サービス事業」と「一般介護予防事業」をあわせて、「新しい総合事業」となる。

現在、地域包括支援センターは全国4328ヵ所に設置されているが、素案は「人員体制を業務量に応じて適切に配置することが必要」、「役割に応じた人員体制の強化と財源確保を図ることが必要」としている。(ケアマネジメントオンライン)