厚生労働省は30日、介護保険制度で軽度の「要支援」の人向けのサービスを新しい市町村事業に移行させることに関連し、新事業の給付費の伸び率に上限を設定して給付費を抑制する「総額管理方式」を導入する考えを示した。今のペースなら給付費は毎年5~6%ずつ伸びる見通しだが、伸び率の上限を75歳以上人口の増加率(3~4%)に合わせる。同省の試算では、2025年度の給付費は本来より19%(1647億円)カットされ、7029億円に抑えられるという。

 介護保険の認定区分は介護の必要度に応じ、「要支援1~2」「要介護1~5」の7段階ある。このうち、最も軽度の「要支援1」とそれに次ぐ「要支援2」の人はヘルパーによる買い物や洗濯などのサービス(予防給付)を受けられる。しかし、厚労省は予防給付を15年度から3年で段階的に廃止し、現在の市町村事業(介護予防事業)と統合する形で新たな市町村事業「新しい総合事業」へ移行させる方針。

 予防給付の費用は約4100億円(11年度)。給付費は毎年5~6%ずつ増えており、このままだと25年度には8676億円に達する見込みだ。このため、新事業の伸び率の上限を75歳以上人口の伸び率まで引き下げ、総額を抑えることにした。毎年の伸びを5・5%から3・5%に減じた場合、25年度には総額を19%削減できるとみている。

 具体的な抑制策としては、サービスごとに国が単価を設定している今の仕組みを変え、市町村が独自に単価や利用料を設定できるようにする。ボランティアの活用などで低価格にできるようにし、国はそれぞれの上限単価の目安も示す意向だ。

 また厚労省は同日、特別養護老人ホーム(特養)に新たに入居できる高齢者を中重度の「要介護3~5」の人に限るとしていた当初案に例外を設ける方針も提示した。軽度の「要介護1~2」の人でも、認知症で介護が必要な場合など「やむを得ない事情」があれば特例で入居を認める。(毎日新聞)