厚生労働省は10月31日、第51回社会保障審議会介護保険部会を開催した。
この日は、次期改正のすべての見直し案が一巡したところで2度目の議論となり、ケアマネジャーにとっても見逃せない重要案件である予防給付の見直し、そして特養の入所基準の見直し等について、さらに掘り下げた内容が示され、それについて意見や疑問が提示された。

詳細は、5日配信予定の小竹雅子氏による特別寄稿にて解説するが、ここでは要支援者の事業への移行と、特養入所基準の例外規定案について紹介する。

要支援者の給付から事業への移行については、事業のイメージが以下のように示された。
1)実施主体:市町村(事業者への委託、市町村が特定した事業者が事業を実施した費用の支払い等)
2)対象者:要支援者について、原稿の予防給付を段階的(27~29年度)に廃止し、新総合事業のなかで実施(すでにサービスを利用している者については、事業移行後も必要に応じて既存サービス相当のサービスを利用可能とする)。
3)利用手続:要支援認定を受けてケアマネジメントに基づきサービスを利用
4)事業の内容:現行の予防給付、予防事業を移行し、予防サービス、生活支援サービスを一体的、効率的に実施。予防給付のすべてのメニューを事業に移行。
5)事業費の単価:訪問型・通所型サービスについては、サービスの内容に応じた市町村による単価設定を可能とする。これらも含め上限単価等全国的なルールのもと、市町村が設定する仕組みを検討。
6)利用料:地域で多様なサービスが提供されるため、そのサービスの内容に応じた利用料を市町村が設定する。
7)事業者:市町村が事業者へ委託する方法に加え、あらかじめ事業者を認定等により特定し、当該市町村の一定のルールの下、事業者が事業を実施した場合、事後的に費用の支払いを行う枠組みを検討。
8)ガイドライン:介護保険法に基づき、厚生労働大臣が指針を策定し、市町村による事業の円滑な実施を推進。
9)財源:1号保険料、2号保険料、国、都道府県、市町村(予防給付と同じ)。

こうした案について、委員からは「本当に3年で移行できるのか」「“上限単価等全国的なルール”で費用の上限を決められると多様なサービスは提供できない」など、さまざまな反論や疑問が述べられた。

■要介護1,2でも特養に入所できる「特例規定」とは?
一方、特養の入所基準が、これまでの「要介護1」から「要介護3以上」になった件について、事務局では、特養の施設長への聞き取り調査などを基に、特例の基準を以下のように提案している。

【要介護1・2であっても特養への入所が必要と考えられる要因】
・認知症高齢者であり、常時の適切な見守り・介護が必要であること
・知的障害・精神障害等も伴って、地域での安定した生活を続けることが困難であること
・家族によるサポートが期待できず、また、現に地域での介護サービスや生活支援の供給が十分に認められないこと
・家族等による虐待が深刻であり、心身の安全・安心の確保が不可欠であること

この案に対し、複数の委員から、3つ目の「家族によるサポートが期待できず、また、現に地域での介護サービスや生活支援の供給が十分に認められないこと」は、内容が曖昧すぎる、すでに特養内での入所判定委員会でやっていること、などの指摘があった。また、全体に「軽度者入所の特例を認めていただいたことを評価する」という歓迎派と、「すでに入所判定委員会で行っていることなので、まだまだ甘い」とする反対派とに分かれた。(ケアマネジメントオンライン)