全国社会福祉法人経営者協議会は、10月11日、介護保険制度改正に向けた意見を社会保障審議会介護保険部会部会長あてに送付した。(ケアマネジメントオンライン)

利用者の利益を守ることを主眼に、社会福祉法人経営者の立場から介護保険改革の論点についての意見を取りまとめたもので、制度改定を行う上での提言も盛り込んだ。また、「今回の改革は、介護保険制度が施行以来の大きな改革」との認識のもと、改革に当たって配慮する前提条件として、「十分な周知期間や移行期間を設けるべき」とも提案している。

■「論点」に関する現状の課題認識
1.特別養護老人ホームに係る施設介護サービス費の支給対象の見直しについて
特別養護老人ホームに入居する軽度要介護者の一定割合は、要介護認定では評価されないさまざまなニーズがあり、地域ではニーズに対応することが困難であるため、特養入居に至っている。支給対象の見直しに当たっては、軽度要介護者の介護以外のニーズを的確に把握し、それぞれのニーズに応じた介護サービス以外のサービスの充実・財源確保などが必須である。

短期入所生活介護については、在宅等での生活を継続するためにも現状の対象者についても維持することが適当である。

既存入居者は、軽度要介護者であっても継続入居対応など退去については極めて慎重に取り扱うべきである。

2.地域支援事業の見直しと要支援者への支援の見直しについて
介護保険サービスが代替してきた介護以外のニーズに対応するため、老人福祉・地域福祉などの仕組みの再構築および財源の確保等などが必須である。

3.補足給付の支援の要件に資産を勘案するなどの見直しについて
補足給付や利用者負担の見直しは、介護保険制度にとどまらず、税・社会保障制度の負担のあり方について一体的に整合性を保ち公平感が高まるような改革を行うべきである

■制度改定を行う上での提言
1.老人福祉法の措置の制度の見直し
老人福祉法における措置の制度について、あり方の再検討と措置要件や運用手続きなどのルールの明確化を行うべきである。

2.地域の生活支援のあり方に関する制度の見直し
介護保険制度の改革とともに、介護以外のニーズに対応するための高齢者福祉・地域福祉の再構築、サービス利用を支援する法定後見などの仕組みの構築を行うべきである。

3.社会福祉法人、特別養護老人ホームがその本来の役割を果たすために
上記の見直しにおいて、社会福祉法人、特別養護老人ホームが本来の使命に基づき、地域貢献などを含め中核的な役割を主体的に果たすことができるよう制度改正・規制緩和を行うべきである。

4.財源の確保と地方自治の再構築
上記の制度・サービスの構築や専門職の育成のために、十分な財源の確保、地方自治の再構築が必要である。

5.改革に当たって配慮すべきこと
今回の改革は、介護保険制度が施行以来の大きな改革であり、十分な周知期間、移行期間を設けて国民や事業者の十分な理解を得る必要がある。