中央社会保険医療協議会の総会が23日開かれ、厚生労働省は2014年度の診療報酬改定で「機能強化型訪問看護ステーション」(仮称)を創設することを提案した。24時間体制で訪問看護に対応できる基幹型ステーションという位置付け。一定の看取り実績や末期がんなど重症患者への対応を求めるほか、地域住民・周辺の病院への情報提供や、訪問看護に携わる人材教育なども担わせ、診療報酬の評価を充実させる。【兼松昭夫】

 厚労省では、こうした訪問看護ステーションを、25年までの創設を目指す「地域包括ケアシステム」の中核に位置付けたい考えだ。同省によると、訪問看護ステーションは規模が大きいほど24時間対応や在宅看取りを行っている割合が高く、経営的にも安定する傾向がある。このため、機能強化型は看護師が十分にそろっている大規模なステーションに限定する方針だ。

 訪問看護ステーションの大規模化につなげるため、本部のほかにサテライトの事業所を設置する運営形態を積極展開させる。サテライトを設置している方が重症患者の受け入れが多く、同省では、こうした運用形態にすると移動時間の短縮やコスト削減など、サービスの効率化にもつながると見込んでいる。

 機能強化型のサービス対象者として想定しているのは、末期がんのほか多発性硬化症や重症筋無力症、筋委縮性側索硬化症などの在宅患者。医療保険と介護保険の両方のサービスを円滑に提供したり、病院や在宅医、介護施設との連携を促したりするため、ケアマネジャーの配置や居宅介護支援事業所としての届け出を求めることも検討する。同省保険局の宇都宮啓医療課長は、機能強化型について、訪問看護ステーションと居宅介護支援事業所の機能を併せ持つ「いわば二枚看板だ」と説明した。

 この日の総会では鈴木邦彦委員(日本医師会常任理事)が厚労省案に慎重な姿勢を示したが、ほかに大きな反対意見はなかった。同省によると、機能強化型の要件は今後、具体化させる。

 「機能強化型訪問看護ステーション」(仮称)の創設は、日本看護協会など3団体で構成する「訪問看護推進連携会議」が6月に要望している。(CBニュース)