2013(平成25)年10月13日(日曜日)に、例年通り全国一斉に、第16回介護支援専門員実務研修受講試験が実施された。(ケアマネジメントオンライン)

ケアマネジメントオンラインでは、試験翌日の14日に解答速報をお届けしているが、全問題と回答、そして正解の根拠などの解説付きの特設ページを開設した。

【第16回ケアマネ試験】問題・予想解答・解説【前半】

【第16回ケアマネ試験】問題・予想解答・解説【後半】

なお、今年度の出題傾向と講評は以下のとおり。

出題内容および出題傾向については、すでに様々なメディア等を通じ、社会保障制度改正国民会議等が明らかにしている「軽度者(要支援者)に対する今後の方向性」を勘案して、「予防給付関連の出題は減るのではないか?」という見解と、「いや、要支援という認定区分をなくす方向にあるからこそ、出題できるうちに出題するから、今年は例年より多いのでは?」という予想がなされていた。

結論的には後者、すなわち「出題できるうちに…」(当然そればかりではないでしょうが)のように、「要支援関連」「予防給付関連」「地域支援事業の軽度者への関わり方」等の出題が、出題の全体的傾向として目立ったといえる。

よって、上述の予想にあって、前者(出題は減るか?)に立って受験準備されていた方には難しく、後者に立って受験準備の学習を詰めていた方には、重箱の隅を突くような問題にも対応できたのではないだろうか。とはいえ例年並みあるいはそれ以上に、決してやさしい出題ではなかったといえる。

また、制度利用がこれまでも増加傾向にあり、今後も年金支給額の抑制等を踏まえ、高齢者に制度利用の増加が見込まれる「生活保護」の手続き、受給者で被保険者の介護保険との関連についても、予想通り、出題数(選択肢数を含め)が増えているといえる。

■介護支援分野
介護支援分野では、今後さらに重点化していく「地域包括ケアシステム」の考え方・制度設計の根拠となる2011(平成23)年の介護保険制度改正(高齢者住まい法改正など関連事項を含む)について2問出題され、それは「長寿社会開発センター版 六訂 介護支援専門員基本テキスト」でかなりの頁を割いて解説されていたので、例年問題1と2の正答率が低い傾向にあるが、本年は高いのではないかと推察する。問題3の「基準の都道府県の条例への委任」については知っている人には易しく、知らなければ難しかったであろう。

要介護認定手続きおよび介護認定審査会については、一昨年まで出題数が減少していたが、久し振りに介護認定審査会単独について1問出題された。

サービス計画(居宅・施設)の出題も増え、また、介護予防事業と介護予防支援事業、要支援者に対する保険給付としての介護予防支援など、似たような呼称・名称の事業等について、その違い・目的等をしっかりと理解していないと難しい出題も目立ちました。事例問題は2問と例年より少なく、その内容も現実的であるものの、いささか出題意図が読めないと感じた。

■保健医療サービスの知識等
保健医療サービスの知識等は、基礎・総合ともに、出題内容および難易度は例年通りで、過去「総合」で出題の多かった「検査等」について、いきなり「基礎」で出題されたのには新鮮な印象を受けた。

当然、今後も増加が見込まれるとともに、予防や治療等に関しては、国や地方公共団体に研究等を課している(介護支援分野では選択肢にもなりましたが)、認知症および認知症患者の介護については、様々な選択肢を介して出題されました。在宅医療および在宅医療管理については、「医療との十分な連携」や社会福祉士および介護福祉士法の改正内容を踏まえ、重点出題の傾向にあったと思われます。

問題45について、選択肢2の通所リハビリテーションに関する医療保険と介護保険の取扱に関して○×の議論があり、選択肢1の「最も件数の多い介護事故が転倒である」につき「転倒・転落が圧倒的に多い」ということと同意かという議論もあったが、今回は「保険給付としての通所リハビリテーション費は介護報酬にはあるが診療報酬としてはない」との判断で選択肢1を○とした。

■福祉サービスの知識等
福祉サービスの知識等も、おおむね例年通りの出題内容および難易度であったといえる。
ただ、ソーシャルワーク(個別援助・集団援助・地域援助)に関しては、ここ数年出題が少なかった反動からか3問と多いのが目立った。24時間対応と地域包括ケアの視点に立てば、ソーシャルワークの意義と活用は必至であるから、当然の確認事項としての出題であったともいえる。

保険給付対象サービスとしては、夜間対応型訪問介護等の地域密着型サービスについての出題が抑えられ、昨年はすべての出題分野で問われた法改正に伴い新設された「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」と「複合型サービス」についても出題がなかったのは意外だった。もっとも、現場において指定件数が少ないという事実に鑑みれば、それも相当といえる。逆に、指定事業者件数が計画通り増加し、サービス内容も確立・確定すると予想される次年度試験(第17回試験)では、再び、当該サービスにつき詳細事項に関し出題されるのではないかと、今から予想できる。

なお、前政権で廃止が議論された「後期高齢者医療制度」は、現在も当然その制度に基づく医療給付が行われているわけだが、1問単独で出題されることは予想できず、また今後の高齢者医療制度の行方を占う意味からも、この出題には意味があると思われる。