厚生労働省は二十五日、介護保険制度の見直しで、一律一割の利用者負担に関し、一定の年収がある人は二割に引き上げる案を社会保障審議会(厚労相の諮問機関)介護保険部会に提示した。六十五歳以上のほぼ五人に一人が対象になる。介護サービスを利用しない人も多いため、月平均利用者約四百三十万人のうち一割程度の四十万~五十万人が負担増になる。 

 厚労省は介護保険法改正案を二〇一四年の通常国会に提出し、一五年度から実施したい意向。自己負担が引き上げられれば、〇〇年の介護保険制度開始以来初となる。

 対象者の年収基準は、収入から公的年金等控除や事業の必要経費などを差し引いた年間所得が(1)百六十万円以上(2)百七十万円以上-の二案。(1)は被保険者全体で所得が上から20%の人、(2)は住民税課税者のうち所得が上から50%以上の人を対象とした。厚労省は、単身高齢者の平均支出(年間百七十万円)などと比べて、負担できると判断した。

 収入が年金だけの単身者の場合、それぞれの案の対象は二百八十万円以上、二百九十万円以上になる。

 夫が厚生年金、妻が国民年金の年金収入のみの夫婦はそれぞれ三百五十九万円以上、三百六十九万円以上が対象。ただ、利用者負担は個人単位で決まる。対象世帯の場合、夫の年金収入は基準を超えているため二割に上がる。妻の収入はいずれも七十九万円にとどまるため、一割で据え置かれる。在宅サービスの利用者負担の平均月額は、要介護1で七千七百円から一万五千四百円に、同2で一万円から二万円に増える。

 厚労省は特別養護老人ホームや介護老人保健施設などの介護施設に入居する低所得者に食費や部屋代を補助する制度の対象から、一定の資産を持つ人を外す案も示した。単身者は一千万円以上、夫婦は二千万円以上の預貯金を持っている場合は対象外。二千万円(固定資産税評価額)以上の不動産所有者も対象から外す。(東京新聞)