厚生労働省は25日の社会保障審議会介護保険部会で、特別養護老人ホーム(特養)などに入居する低所得の高齢者らを対象とする「補足給付」について、所得が低くても一定以上の預貯金や不動産を持つ高齢者は、対象外とする案を示した。また、その要件として、「単身で1000万円以上か、夫婦で2000万円以上の預貯金」などが提示された。

 特養や介護老人保健施設、介護療養型医療施設の入所者やショートステイの利用者のうち、住民税非課税世帯の人には、居住費や食費などが給付されている。ただ、この制度は所得だけを基準としているため、所得が低くても多額の貯蓄や資産があり、十分な支払い能力がある人まで給付対象になってしまう問題が指摘されていた。

 こうした状況を受け厚労省は、補足給付の対象外となる要件に、不動産や預貯金を加えることを提案した。具体的な要件としては、▽世帯分離した配偶者が住民税課税の場合▽単身で1000万円以上か、夫婦で2000万円以上の預貯金や有価証券がある場合▽固定資産税評価額で2000万円以上(公示価格等で約3000万円以上)の不動産がある場合-などを示した。

 預貯金や不動産の保有状況を把握する方法としては、自己申告を基本とするとしている。
 
 特に、簡単に現金化できない不動産については、市町村が不動産を担保とした貸し付けを行い、所有者の死後に売却して貸し付け分を回収する仕組みも提案。該当する不動産に所有者の配偶者が住んでいる場合は、配偶者が死亡するまで貸し付け分の返済を猶予することも示された。また、対象となる不動産は宅地を基本としているが、所有者の子どもが住んでいる不動産やショートステイの利用者の不動産は、要件の対象にはならない。

 この日の部会では、厚労省の提案に、おおむね賛同する意見が大勢を占めた。ただ、具体的な要件については、負債を抱えている場合や、宅地に比べて売却が難しい農地を保有している場合も考慮し、改めて検討すべきとする意見が上がった。(CBニュース)