全国老人福祉施設協議会(全国老施協)は、社会保障制度改革の全体像を示したプログラム法の要綱が先月21日に閣議決定されたことを受け、介護保険制度の見直しに関する意見書を厚生労働省に提出した。同法の要綱に基づき、特別養護老人ホーム(特養)の入所者を要介護度が重い人のみに制限すべきという見直し案が検討されている点について、「(入所を)重度要介護者のみに制限することは、介護保険法の選択の自由にそぐわない」とし、強い反対を表明している。

 意見書は、「プログラム法案(骨子)に対する意見」や「介護保険制度の効率化・重点化に向けた当面の課題」などで構成されている。

 「プログラム法案(骨子)に対する意見」では、特養の施設介護サービス費の支給対象の見直しが、同法の要綱に盛り込まれている点について、要介護1や要介護2の高齢者が特養に入所している背景には、認知症に伴う判断力の低下やBPSD(認知症の周辺症状)、本人への虐待や介護放棄などの事情があると指摘。軽度の要介護者の特養入所は、「地域の事情によりセーフティネットとしての役割を果たすべく、相応の判断があって行われている」などとし、重度の要介護者のみに特養入所を認める見直し案について、慎重な検討を求めている。

 プログラム法の要綱の閣議決定などを受け、介護予防給付の地域支援事業への移行が検討されている点ついては、市町村格差や地域の実情などに配慮し、移行を終えるまでに一定の期間を設けることを求めた上で、「当面の間、財政面のみならず相談支援、連携の在り方を含めた国から(市町村へ)の協力体系を整えることが不可欠」と指摘。地域包括支援センターの職員体制や業務の範囲、権限のあり方の再整理や、介護職まで含めた医療の業務範囲に関する議論の実現なども要望している。

 「介護保険制度の効率化・重点化に向けた当面の課題」では、要介護区分を現状の5段階から3段階程度に簡素化することを要望。ケアプラン作成に対する利用者負担導入や多床室特養の再評価なども求めている。(CBニュース)