2日に示された社会保障制度改革国民会議の最終報告案では、一定以上の所得のある介護保険の利用者について、利用者負担の引き上げが盛り込まれた。改革の時期については明記されなかったものの、会合後の記者会見で清家篤会長(慶応義塾長)は「少なくとも中長期の話ではない」と述べ、短期的に実行すべきとの考えを示した。

 介護分野の報告書案では、持続可能性を高めていくための施策として、利用者負担の見直しを掲げた。負担の公平性の観点から、施設入所で助成額の決定において基準として用いられる利用者の負担能力については、課税対象の所得(フロー)だけでなく、預貯金などの資産(ストック)も勘案すべきだと提案。低所得者の第1号保険料の負担軽減は、現在の割合よりもさらに引き下げるべきだとし、「負担能力に応じた負担」の徹底を求めた。

 要支援者に対する介護予防給付の見直しも盛り込まれた。介護保険サービスとして実施されている要支援者に対する介護予防給付を、市町村が実施する地域支援事業と一体化させ、「新たな地域包括推進事業」(仮称)に段階的に移行させていくべきだとした。
 介護提供体制については、社会福祉法人の改革も明記。具体的には、経営の合理化や近代化、大規模化や複数法人の連携を促進する必要性を述べ、「非課税扱いとされているに相応しい、国家や地域への貢献が求められて」いるとした。

 このほか、地域包括ケアシステムの中核として、かかりつけ医の重要性を強調。医療と介護の改革を一体的に進めるため、将来的には介護保険事業計画と医療計画を一体的な「地域医療・包括ケア計画」とするビジョンを盛り込んだ。この日の会合では、介護分野の最終報告案に対する異論は出なかった。(CBニュース)