厚生労働省は、5月31日、第94回社会保障審議会介護給付費分科会を都内で開催した。
今回の議題は、平成24年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要と、今年度調査の実地について。そして、平成24年度介護報酬改定の考課検証及び調査研究に係る調査の結果など。

■職種別給与額は概ね増加
介護職員処遇改善加算は、キャリアパス要件など一定の算定要件を満たすことで取得でき、介護職員の賃金改善に寄与するもので、平成24年度の報酬改定より実施されている。
今回の調査では、報酬改定が本当に介護従事者の処遇改善に反映されているかの検証を行うとともに、次期介護報酬改定のための基礎資料を得ることを目的に、平成24年10月1日に実施された。

その結果、処遇改善加算の届け出を出している事業所は86.7%、種類別では、介護職員処遇改善加算(I)がもっとも多く、91.7%となっている。
また、平成24年4月1日から9月30日の間の給与を、実際に「引き上げた」と回答した事業所は全体の63.1%だった。次いで、「引き上げ予定なし」が23.5%、「1年以内に引き上げる予定」が7.3%だった。「給与を引き上げた」業種別では、居宅介護支援事業所がもっとも少なく、55.4%だった。

介護従事者の平均給与額は、以下のとおり。
●介護職員(常勤)      275,700円(前年度比+5,880円)
○介護職員(非常勤)    139,000円(前年度比+3,070円)

●介護支援専門員(常勤)   334,260円(前年度比+5,710円)
○介護支援専門員(非常勤)  175,990円(前年度比+12,510円)

●看護職員(常勤)      364,870円(前年度比+6,830円)
○看護職員(非常勤)     205,920円(前年度比+9,830円)

●相談員(常勤)      318,660円(前年度比+7,010円)
○相談員(非常勤)      241,230円(前年度比+13,730円)

●OT・PTなど(常勤)    349,070円(前年度比+8,260円)
○OT・PTなど(非常勤)    258,870円(前年度比-1,970円)

※平均給与額は基本給+手当+一時金により算出。

調査ではさらに法人種別、事業所規模別、職位別の平均給与額も公開されているが、恵まれているのは地方公共団体や社会福祉法人であり、事業所規模が大きいほど給与が高くなる傾向にある。

処遇改善加算によって概ね給与は改善されているが、居宅介護支援事業所の給与引き上げ率は、他サービス事業所に比べもっとも低かった。また、こうした調査でのケアマネジャーの平均給与を公開すると、CMO会員からは「こんなにもらっていない!」という声が届く。
果たして、皆さんの給与は、今回調査の額に届いているだろうか。

■24年度改正の効果検証は回収率の低さが露呈
一方、昨年度の介護報酬改定の効果検証および調査研究に係る調査の結果では、新たな施策として盛り込まれた定期巡回・随時対応サービスの調査研究、複合型サービスにおけるサービス提供実態に関する調査研究、急激にその数を増やしているサービス付き高齢者向け住宅等の実態に関する調査研究などの結果については、いずれも回収率が6割程度と低く、委員からは「このような低い回収率の結果だけで介護の未来は語れない」との厳しい声も上がった。
 
今年度は10月に同様の調査が実施されるが、委員からは「老健でのケアマネジメントがどのようになっているのか調べてほしい」「生活リハの実態調査を」など、さまざまな要望があがった。(ケアマネジメントオンライン)