有料老人ホーム「アライブ世田谷代田」は2月14日、ケアマネジャー向けセミナー「介護保険報酬改定も踏まえた!居宅介護支援の手法」を開催した。講師は、介護コンサルティングを数多く手がける、株式会社ねこの手代表取締役の伊藤亜記氏。

今回は特に、実地指導で問われる視点を踏まえ、自立支援型ケアプランを作成するプロセスとその留意点について講義を行った。

ここでは後半の講義と、伊藤氏が作成した実地指導時のヒアリング例を紹介する。

■実地指導で問われる「連携力」
他業種連携を象徴するのがサービス担当者会議だが、この調整には労力も使うし、照会だけで済ませてしまうことも多いのではないだろうか。しかし伊藤氏は、「照会だけで済ませて、実際にサービス担当者会議を行わないのは、大変危険です。特にショートステイの場合、事故が起こりやすい」と指摘する。

実際に起きた事例として、ショート利用中の利用者で、トイレでトイレットペーパーを口に詰まらせて窒息したり、「家に帰る」と3階の窓から飛び降りた人がいたという。事前にきちんとカンファレンスを行っていれば、防げた事故かもしれなかった。

伊藤氏は、「ケアプランとサービス提供者会議はセットです。両者に連動性がないと、目標達成はできない」とし、当然、現場のヘルパーも(非常勤であっても)ケアプランをしっかり理解したうえで、目標達成を意識したケアが必要だと語った。
さらに、「サービス担当者会議に出席しない事業者は、仕事をする気がないという表明なので、他の事業所への交代も考慮すべき」と、会議に出席せずサービスだけ提供し続けようとする事業所を暗に批判した。

伊藤氏は、「ケアマネジャーは要介護高齢者のライフプランナー。十分な個別アセスメントに始まり、課題分析、サービス計画書の作成、サービス担当者会議、モニタリング、サービス計画の変更といった一連のケアマネジメントプロセスを実行しながら、目標達成に近づくよう、総合的な援助方針を設定しましょう」と締めくくった。

最後に、アセスメント、ケアプラン、サービス担当者会議、モニタリング・ケアプラン変更、それぞれについて、実地指導でどんなこことを聞かれるのか、その一例を紹介する。

■アセスメントについて
・利用者や家族から情報を収集する際は、具体的にどのように行っていますか?
・利用者の支援に必要な情報を引き出すために、アセスメントにおいて特に留意していることはどのようなことですか?
・利用者の生活観、価値観、人生観などを含めた全体像のアセスメントを行っていますか?
・利用者の状態を改善するための課題やニーズの把握について、得られた情報の分析をどのように行っていますか?
・利用者の状態悪化の防止または悪化のスピードを遅らせるために、どのような対応をしていますか?

■ケアプランについて
・課題に応じて多職種がかかわりを持つケアプランとなっていますか?また、それぞれの職種の役割分担は、どのようになっていますか?
・ケアプランの目標を設定する際には、どのような配慮をしていますか?
・短期・長期目標を設定する場合、特に留意していることは何ですか?(ケアプランに短期・長期目標が設定されているかを確認)
・利用者の安全確保を念頭に置いたケアプランとなるように、どのような状態を見守るのか、危険な状態の時にどのようなかかわりをするのかといった手順などについて事前に話し合い、意思決定を行っていますか?

■サービス担当者会議について
・ケアカンファレンスの開催頻度や出席者はどのようになっていますか?また、話し合われる内容は、どのようなことですか?
・利用者の状態の変化に即応し、高齢者虐待や身体拘束のリスクについて、家族への説明を行っていますか?

■モニタリング・ケアプラン変更について
・モニタリングは、具体的にどのように行っていますか?またその際、特に重視していることはどのようなことですか?
・利用者の状態の変化をどのようにとらえていますか?また、次の課題を見出すための再アセスメントをどのように行っていますか?
・利用者への一連のケアマネジメントプロセスの中で、ケアを担うチームの意見などをどのように集約していますか?(ケアマネジメントオンライン)