2014年4月に消費税率が8%に引き上げられることを踏まえ、15年度に行われる見込みの次期介護報酬改定を1年前倒しして14年度に実施する案が、厚生労働省内で浮上している。税率の引き上げ分を加味して報酬を調整し、14年4月に合わせて改定を行うことで、税率引き上げの影響を最小限に抑えるのが狙いだ。

 これまで介護報酬は、各保険者が定める介護保険料や介護保険事業計画に合わせて3年ごとに見直されてきた。この“慣例”に従えば、次の改定は15年4月に実施されることになる。ただ、その1年前に消費税率が8%に引き上げられることから、介護関係者からは「現行制度のままで消費税が引き上げられれば、引き上げ分はすべて事業者の負担となる可能性が高く、厳しい経営を強いられる」といった声が上がっている。

 このため厚労省は、9月7日の社会保障審議会介護給付費分科会介護事業経営調査委員会で、介護保険サービスにおける消費税課税の状況を把握した上で、消費税率引き上げへの対応を検討することなどを提案した。厚労省では、「仮に何らかの対応を行う場合、13年中には結論を得ることが必要ではないか」としている。

 介護報酬改定の前倒し案は、こうした検討の過程で浮上した。同省老健局関係者は、前倒しが決まったわけではないとした上で、「まずは、介護給付費分科会介護事業経営調査委員会の調査結果を見て、改定変更が必要かどうかを考えることになる。調査結果は、年度内には出るだろう」と語る。

■改定とは別の対応の可能性を指摘する声も

 ただ、報酬改定を1年前倒しすれば、今年4月に始まった第5期介護保険事業計画(12-14年度)の途中での改定となる。このため厚労省内でも、「各保険者が定めた介護保険料や事業計画と整合性を取るのが難しい。改定とは別の対応をする可能性が高い」(老健局関係者)との見方もある。(CBニュース)