東京都社会福祉協議会は、2011年10月に始まったサービス付き高齢者向け住宅(以下サ高住)が都内で100を超える登録がされていることを受けてアンケート調査を実施、このほどその結果を発表した。

同調査は、サ高住の普及やサービスの質の向上を目指し、その状況を明らかにすることを目的に行われた。回答が得られたのは、調査票を送付した81カ所中37カ所で、サ高住の主な対象は自立~中程度であること、介護事業所を併設する高齢者住宅が目立つことなどが明らかに。

また、運営の課題では「利用者の確保」が半数以上で、今後、サ高住を「増やしていく予定」が3割にとどまったのも、利用者の確保が大きなネックになっていると言えそうだ。

【調査の概要】
■対 象:都内サービス付き高齢者向け住宅81カ所(8月20日現在、登録されている高齢者住宅102 カ所で、建設中の21 カ所を除く)

■調査期間 :2012年8月21日~9月12日

■方 法 :郵送による送付、FAXによる回収

■回収状況 :37 カ所/81 カ所(回収率45.6%)

主な調査の結果は以下の通り。

■運営主体の7割が介護・福祉事業者
サ高住を運営する法人の主な業種は、70.3%が「介護・福祉」。「医療」が10.8%で、「不動産」は8.1%と1割に満たない状況だった。また、法人種別とクロス集計すると、約半数(48.6%)が介護・福祉事業を行っている株式会社が高齢者住宅を運営していた。

■賃料は6 万8,000 円~39 万1,000 円
賃料として「家賃「管理費」と「生活支援サービス費(安否確認と生活相談サービスの費用)」を合計した金額について質問した。
サ高住では、賃料設定を複数にしている場合もあるため、最も低い賃料と最も高い賃料についてたずねたところ、最も低い賃料の平均は12 万7,561 円、最も高い賃料の平均が15 万3,872 円で、13 万~15 万というのがサ高住の相場と言える。
しかし、最も低い賃料を設定していたサ高住では6 万8,000 円、最も高い賃料を設定していたサ高住は39 万1,000 円となっており、バラツキが極めて大きい状況だった(ただし、賃料が高いところは2人用の可能性もある)。

■居室の広さは18 平方メートル~58.8 平方メートル
居室の広さについては、1つの建物の中に複数の居室の広さがあるサ高住もあるので、住宅の中で最も狭い居室面積と最も広い居室面積についてたずねたところ、一番狭い居室の平均が25.1 平方メートルで、サ高住の登録基準(原則)25 平方メートルとほぼ同様だった。一方、一番広い居室の平均は32.6 平方メートルだった。
また、調査の中で最も狭い居室だったのは18 平方メートルで、サ高住の登録に関して、「居間、食堂、台所その他の住宅の部分が高齢者が共同して利用するため十分な面積を有する場合」に認められる最も狭い居室面積である。
今回の調査では、原則居室面積の25平方メートルを満たしていない高齢者住宅は12 カ所で、回答のあったサ高住の32.4%。東京のような都市部においては、25 平方メートルを確保するのが難しいことが想像できる。

■サ高住の入居者像は、要介護度「自立~中程度」
サ高住の入居者像では、「要介護度が高い」が11.4%となり、「特に対象を決めていない」を合わせても4割程度となっている。一方、自立や軽度は8割、中程度は7割で、サ高住の主な対象は自立~中程度までと言える。

■介護事業所を併設するサ高住が目立つ
併設事業所については、デイサービスが4割(40.5%)、訪問介護が4割弱(37.8%)、居宅介護支援事業所が3割(29.7%)だった。医療系では、診療所が2割弱(16.2%)、訪問看護が1割未満(5.4%)と少なく、病院や通所リハとの併設はないなど、介護系の事業所との併設が目立った。

■運営の課題「利用者の確保」が半数以上
運営の課題では、「利用者の確保」との回答が最も多く、半数以上(54.1%)。次いで多かったのが「職員の確保」で43.2%。制度が始まってまだ1年しか経過していないこともあり、自由記述では、一般市民へのサ高住のPRや普及啓発が課題となっているという回答も見られた。

■今後、サ高住を「増やしていく予定」は3割
今後、サ高住を増やしていくかという設問では、「増やしていく予定」が3割(35.1%)にとどまっており、「未定」が54.1%と最も多かった。一方、明確に「増やさない予定」としているのは1割(10.8%)だった。「増やさない予定」と回答した理由としては、「安定した収益がないため」「経営上無理」といった運営資金面での課題が多く、「利用者の確保」が大きなネックになっていると考えられる。(ケアマネジメントオンライン)