介護保険事業計画の策定に当たり、高齢者のニーズなどを把握する「日常生活圏域ニーズ調査」を実施した自治体は、全体の8割強だったことが、21日までに厚生労働省の調査で分かった。一方、ニーズ調査で明らかになった課題などを第5期介護保険事業計画(2012-14年度)の要介護者数やサービス見込み量の推計に反映させた自治体は、全体の2割にも満たなかった。

 調査は今年6月、全国の市町村や広域連合など1580保険者を対象に実施。1568保険者から回答を得た。

 日常生活圏域ニーズ調査の実施の有無を尋ねた質問では、84.3%の保険者が調査を実施したと回答した。また、調査で把握できた課題やニーズを尋ねた質問では(複数回答)、「潜在的な要介護予備群の把握」が60.3%で最も多く、以下は「管内の圏域ごとの課題の違いや特徴の把握」(37.7%)、「サービス基盤のミスマッチの把握」(25.6%)、「全国データと比較した圏域の課題の把握」(15.8%)と続いた。「特に把握できたものはない」は15.7%だった。

 その一方で、日常生活圏域ニーズ調査から得られた課題やニーズを第5期介護保険事業計画の要介護者数の推計に反映させた保険者は18.9%、サービス見込み量の推計に反映させた保険者は14.8%だった。厚労省老健局介護保険計画課の担当者は、「要介護者数などの推計については、人口推計や過去の認定率を基に行った保険者が多かったようだ。今後は、調査結果の分析から得られた課題やニーズを要介護者数やサービス見込み量の推計にも生かせるよう、支援策などを検討したい」としている。

給付状況の分析、半数以上の保険者が毎年度実施

 また、介護保険の給付状況の分析について尋ねた質問では、「毎年度定期的に行っている」が52.5%と、半数以上に達した。以下は、「2-3年ごとに行っている」(33.3%)、「全く行っていない」(14.1%)の順だった。
 毎年度分析を行う保険者に、分析の観点を尋ねた質問では(複数回答)、「給付費の増加要因の解析」が83.0%、「計画における推計の妥当性の検証」が69.0%など、計画全体にかかわる観点が多かった。一方、「個々の利用者に着目したサービス利用状況の検証」は15.4%、「高齢者の状態像に応じた適切なサービス利用のあり方の検討」は14.2%など、利用者の観点からの分析を行う保険者は全体の10%台にとどまった。(CBニュース)