在宅分野で活躍するケアマネジャーのうち、8割余りは訪問介護の生活援助が必要と考えていることが、淑徳大の結城康博准教授の調査で分かった。また、生活援助(訪問介護)の区切りの時間が、60分から45分に変更された点について、在宅分野のケアマネジャーの半分近くは、この改正により利用者の生活に支障が生じたと感じていることも分かった。

 結城准教授は、2012年4月から6月にかけて、愛媛県・千葉県・福岡県のケアマネジャーらにアンケート調査を実施。746人から有効回答を得た。

 在宅の現場で活躍するケアマネジャー(542人)を対象とした質問のうち、「生活援助サービス(訪問介護)は、介護保険給付サービスとして必要か」では、82%のケアマネジャーが「必要である」と回答。以下、「地域支援事業や他制度で保障」(6%)、「必要でない」「自費でまかなうべき」(いずれも4%)と続いた。この質問に関する自由回答では「生活援助は居宅生活を続けるうえで必要。生活援助と身体介護は同じ制度で対応するほうがよい」「トイレ掃除は生活援助だが、失敗などを発見でき、生活機能を把握できる。そのため絶対に必要」「独居高齢者には必要不可欠なサービス」などの声も寄せられた。一方、「生活援助は、自己負担を増やしてもいいのではないか」とする意見もあった。
 同様に、在宅の現場で活躍するケアマネジャーに、生活援助サービスの提供時間の変更が利用者の日常生活に与えた影響をたずねた質問では、「支障がある」という回答が47%と半数近くを占め、「何ともいえない」(34%)、「支障はない」(11%)、「わからない」(8%)を大きく上回った。
 結城准教授は、「生活援助の区切りの時間の変化が、利用者にとって大きな支障になっているのは明らか。ただ、一部、家事代行サービスを見直すなどの工夫によって対応する必要もあるのではないか」としている。

■2012年度介護報酬改定を「評価する」は2%
 在宅・施設の両方のケアマネジャーら(746人)に2012年度の介護報酬改定についての評価を尋ねた質問では、「何ともいえない」が46%で最も多く、次いで「評価しない」(41%)、「わからない」(11%)となった。「評価する」は2%に留まった。この質問に関する自由回答では、「資金不足を回避しようとする机上の施策にすぎない」「今回の新サービスは、あまり使えない」など、改定に対する厳しい意見も数多く寄せられた。また、在宅・施設の両方のケアマネジャーに対する新設の特別養護老人ホームの居室定員についての質問では、「1人以下と4人以下の居室を混在させる」が61%を占めた。以下は「4人以下が妥当」(16%)、「わからない」(12%)、「1人以下が妥当」(8%)、「その他」(3%)となった。
 この結果について、結城准教授は「特養の定員に関しては、やはり4人部屋のニーズが高いようだ。個室だけを極端に推進するのではなく、地域の事情に応じ両方のタイプの居室を混在させ、一部4人部屋も増やす取り組みが必要なのではないか」としている。(CBニュース)