7月9日、東京・虎ノ門で厚生労働省の「介護支援専門員の資質向上と今後のあり方に関する検討会」の第4回会合が開かれた。今回はまず事務局から資料についての説明があり、その後、構成員等からのプレゼンテーション(以下、プレゼンと表記)、そして、全体的な議論が行われた。

プレゼンを行った構成員は、中村春基氏(日本作業療法士協会会長)、田村氏 (日本社会福祉士会会長・山村睦氏代理人)、池端幸彦氏(日本慢性期医療協会副会長)、折茂氏(全国老人保健施設協会副会長・東憲太郎氏代理人)、桝田和平氏(全国老人福祉施設協議会介護保険事業経営委員会委員長)、木村隆次氏(日本介護支援専門員協会会長・日本薬剤師会常務理事)の6名である。1人5~10分という短い時間の口頭でのプレゼンであった。

冒頭の事務局からの説明では、前回検討会での「1人ケアマネ事業所はどれぐらいあるのか」という質問に対する回答として、昨年度実施の日本総合研究所による調査で、ケアマネジャー1人の事業所は14.8%等、事業所内の介護支援専門員人数とそのうちの常勤者数の一覧表が示された。また、今年度、厚生労働省としてケアマネジメント向上目的の研修改善事業に取り組んでおり、その検討内容はこの検討会で随時報告する、などの説明、第2回検討会で配布され、時間の関係で割愛された「ケアプラン詳細分析結果報告書」についての説明もあった。

続いて行われたプレゼンのトップは中村氏。
まず報告したのは、7つの病院を対象に調査した退院調整の流れについて。ケアマネジャーとしては退院前にカンファレンスを開いて医療情報を確認したあと、最低1か月はシャドウワークとしてケアプランを考える期間がほしいとの話があったが、病院側は最も遅いところでは退院2週間前になってようやくケアマネジャーに連絡を取っているところもある、とのこと。ケアマネジャーの資質向上を考える際には、病院との連携の面で、もっとケアマネジャーが動きやすいよう、病院側のシステムを見直す必要があるのではないかとの提案があった。

また、兵庫県中・西播磨圏域では、脳卒中患者が回復期から在宅復帰する際の情報共有がルール化されているとの話があり、病院からケアマネジャー宛の2枚にわたる詳細な「脳卒中退院時情報提供書」が書式化されていると、資料が示された。そのせいもあってか、ケアマネジャーからは脳卒中よりガン末期や肺炎など、急性期医療から回復期を飛ばして在宅に戻る患者のケアプランをどう作るかが難しいという意見があるとのことだった。

この圏域では、退院後の患者の様子を知りたいという病院側の意向を受け、退院1か月後にケアマネジャーから回復期病院への「在宅生活情報提供書」の提出もルール化されているとのこと。提出率は88%で、病院はこの情報によって思いも寄らない悪化の事例を知ることもあり、医療サービスのあり方を再検討する材料とされているという。

続いてプレゼンを行ったのは、田村氏。
まず、地域包括支援センター(以下、包括)が地域のケアマネジャーの能力を適切にアセスメントし、社会資源として活用できるような体制づくりはされているのか、求められている能力を持つケアマネジャーを地域で育てる努力はされているのか、という疑問を投げかけた。そして、包括が総合相談の機能を発揮し、適切な能力を持つケアマネジャーを育成して利用者の状況に応じたケアマネジャーにつなげていくことで、介護保険を有効活用していく必要がある、と訴えた。

また、アセスメントについては、ソーシャルワークの視点から言えば、一つの制度の枠の中で納まるものではない、と指摘。地域で暮らしていくために必要な制度、必要な法律を活用していくことが、ソーシャルワーク機能を使った支援であり、ケアマネジャーのアセスメントや裁量の領域についての見直しも必要ではないかと提案した。

研修については、現状では要介護者の地域での暮らしを支えるスキルアップを図れる内容になっているかが疑問だと指摘。たとえば、1対1での面接技術や、虐待の通報、成年後見制度の活用などの権利擁護などについても、十分な研修が行われていない印象がある、と語った。

最後に、様々な入居系施設と地域との連続性をどう担保するのかという点についても言及。施設ケアマネジャーのあり方については、居宅のケアマネジャーと連携できていないことや施設の中で完結してしまうことへの疑問を投げかけた。(ケアマネジメントオンライン)