厚生労働省の施策を外部の有識者が検証する、同省の「提言型政策仕分け」が29日に行われ、医療と介護の連携と、後発医薬品の使用促進策をテーマに、同省幹部と有識者が意見を交わした。7月6日の会合で再度議論し、提言をまとめる見通しだ。

 医療と介護の連携については、▽退院患者が地域で必要な医療サービスを受けるため、医療機関の連携強化や人材育成にどう取り組むべきか▽地域で在宅生活を継続させ、個別の利用者の視点に立った訪問診療・看護などを提供するためには、どのような取り組みが必要か―の2つを論点に議論した。

 座長を務めた宮山徳司氏(埼玉医科大医学部特任教授)は、私見と断った上で、「改めて家族介護について、国民的な議論をやってみる価値があるのではないか。介護財政にも好影響を与える面もあると思うので、検討してほしい」と求めた。
 これに対して、厚労省老健局の宮島俊彦局長は、「在宅の一人暮らしで認知症を持った人を、外部のサービスで全部支えきれるのかということがある。われわれとしても、そういうことにチャレンジしないと、特に東京都周辺のケア体制はどうなるかと思っている」との懸念を示した上で、「もう少し家族介護のことを社会的に評価してもいいのではないかという動きも出ている。そういう議論をやっていく時期になったのかなと思っている」と述べた。

■後発品、医療費との関係の周知が必要との声も
 一方、後発品の使用促進策では、▽患者や医療関係者の一部で、後発品使用への不安が払拭されていない状況をどう考えるか▽後発品の信頼性向上のため、安定供給体制のさらなる強化が必要ではないか―の2つを論点とした。

 2012年度の診療報酬改定では、後発品の有無や価格など、薬局による患者への情報提供を評価。また、後発品のある医薬品について、医師による一般名での処方を評価する「一般名処方加算」が新設され、有効成分が同じであれば、処方せんを受けた薬局側は、先発品、後発品のいずれの調剤も可能となった。
 これについて有識者からは、その効果を疑問視する意見が出た。宮山氏は、「(薬剤師に)国民が言われたら、『ああ、そうですか』となって、安いからということで済んでしまうのではないか。やはり、何かひと工夫が必要だ」との考えを示した。
 また、和泉昭子氏(生活経済ジャーナリスト、キャリアカウンセラー)は、「有効性や安全性が同じことが前提だが、医療費の負担者に対して、コストの面で安いものを選ばせるのならば、強制力を持つというか、もう少し踏み込んでもいいのではないか」と指摘。後発品の普及を進めるため、「お薬をいただく時に、安いものを選ばないで、何も考えないで行動していることが、回り回って消費税のアップにつながっているというようなことが見えると、(国民は)動くと思う」と述べた。(CBニュース)