医業経営コンサルタントグループMMPG(メディカル・マネジメント・プランニング・グループ、東京都中央区)は10日、東京都内で「2012年度診療報酬・介護報酬ダブル改定オープンセミナー」を開催した。

 セミナーでは、ASK梓診療報酬研究所の中林梓所長が12年度の診療報酬改定を中心に講演。医業収益の確保・向上策として、▽診療所などの外来患者の増患▽在宅医療の拡大▽地域連携の推進―などを挙げた。

■退院調整にはケアマネの参画も

 中林氏は、今回の診療報酬改定は、地域連携に関する加算が多いことも特徴と指摘。その一例として、「退院調整加算」(表)について説明した。


 退院調整加算は、12年度の改定で「急性期病棟等退院調整加算」と「慢性期病棟等退院調整加算」が一本化されたもの。退院調整部門において、入院から7日以内に抽出した退院困難な患者に対して、退院調整を行うことを評価するが、中林氏は今年4月の請求で算定できていない病院も多かったと言う。
 この加算は、入院患者の「退院困難な要因」を抽出していることが必要だが、中林氏は、病棟の看護師は、入院患者の状況を把握しておきたいと話す。


 中林氏によると、患者の「退院困難な要因」についても、「介護保険が未申請の場合」「入院前に比べADLが低下し、退院後の生活様式の再編が必要であること(必要と推測されること)」「同居者の有無にかかわらず、必要な介護を十分に提供できる状況にないこと」といった項目について、最も知っているのはケアマネジャーだ。
 前回の10年度診療報酬改定で、「介護支援連携指導料」が新設され、退院後に介護サービスが必要と見られる患者に対し、病院の医師や看護師などと、ケアマネジャーによる指導が評価されたが、今年4月の時点でも、あまり算定されていない。


 中林氏は、患者が入院した時に、その人のケアマネジャーを呼ぶことで、退院困難の要因や家庭の状況も分かるほか、加算もつくことから、病院においても、患者を介護とつなげていくための仕組みを考えてほしいと言う。
 そのための方法の一つとして、病棟の看護師が患者に最初のヒアリングを行う際、高齢の患者などには、要介護認定の有無を聞くことを提案。病院において必要に応じて、要介護認定を勧めることによって、患者も退院後にスムーズに介護サービスを受けることができ、とても助かるはずと指摘する。


 中林氏は、患者の高齢化が進む中、医療と介護のサービスが両方あってはじめて、地域で暮らしていけると強調。医療職も介護職もお互いについての基礎知識だけでも知っておきたいと話した。

■法人内の人材情報の管理を

 中林氏は、同時改定への対応策として、医療機関や法人が属する地域における医療と介護サービスの現状について認識し、地域のニーズと自院のポジショニングを明確にすることを訴えた。これによって、どこと連携を進めるべきか明確になっていくと言う。
 さらに、病院や法人内の人材情報管理を求めた。どのような人材が不足しているのかを洗い出すほか、職員が持つ資格や受講した研修、今後の希望などを把握しながら、将来的にどのような病院を目指していくのかも明らかにすることが必要だという。(CBニュース)