医業経営コンサルタントグループMMPG(メディカル・マネジメント・プランニング・グループ)主催の「2012年度診療報酬・介護報酬ダブル改定オープンセミナー」が10日、東京都内で開かれた。この中で介護報酬改定について講演した萩原輝久氏(ヘルスケア経営研究所代表)は、今後の医療経営では、介護との一体的なケアの提供が重要になると指摘した。

 「同時改定後の介護施設・居宅介護サービス事業の地域内差別化、差質化戦略」をテーマに講演した萩原氏は、12年度介護報酬改定の基本方針に掲げられた「地域包括ケアシステム」を推進する上では、「医療と介護の一体的、継続的なケアが重要になる」と指摘。診療報酬改定で、在宅や介護施設から患者を受け入れたケースを高く評価したことを例に挙げ、「医療経営は、介護との連携なくして成り立たない」と述べ、医療機関が介護保険制度を理解することの重要性を訴えた。
 また、ケアの在り方に関しては、利用者を常に車いすに乗せていたり、ベッドで過ごさせたりする介護施設の例を挙げ、「このような間違ったケアを継続してはいけない」と強調。「利用者の日常生活動作の自立や、気持ちの自律(を目指すケア)が、これからのポイントになる」と述べた。

 個別サービスでは、医師や歯科医師らが利用者宅を訪問し、指導した場合に算定できる居宅療養管理指導に触れた。萩原氏は、高齢者の義歯の状態と転倒には関連性があることや、入院中に食事を摂らないうちに、義歯が合わなくなるケースが多いことを紹介。その上で、「口腔ケアの重要性を理解していない医療機関が多過ぎる」と述べ、歯科医師や歯科衛生士と連携しながら、居宅療養管理指導サービスを提供することが重要と訴えた。

 このほか、介護老人保健施設(老健)の基本報酬にも言及。12年度介護報酬改定では、「退所者の50%超が在宅復帰」「30.4を入所者平均在所日数で割った値が0.1以上」などの要件を満たす「強化型」老健には高い報酬、満たさない老健には低い報酬が設定された。萩原氏は、強化型の老健のみが増収になったとのシミュレーション結果を示した上で、「(強化型の算定は)難しくない。難しいと考える施設は、口腔ケアに取り組んでいなかったり、リハビリテーションに取り組んでいなかったりする所。そういった施設は今後(老健で)なくなってしまうのではないか」との見方を示した。(CBニュース)