5月29日、東京・信濃町で日本在宅介護協会東京支部主催の「第三弾 法改正関連の勉強会」が開催された。第1部は厚生労働省老健局振興課基準第一係長・松山政司氏による報酬改定に関するQ&Aの解説、第2部では(株)DHM横森三和氏による、ケアマネジャーが知っておくべき医療改革・医療報酬改定のポイントについての講演、第3部では「介護甲子園」についての情報提供が行われた。ここでは第1部、第2部について2回に分けて報告する。

今年度の報酬改定の中で、松山氏がこの日解説したのは、訪問介護、通所介護、居宅介護支援の3サービス。まず、3月に厚生労働省から出された「介護保険最新情報vol.267・273」のQ&Aについて説明し、続いて、事前に在宅協が参加者から募った質問に回答した。

Q&Aの解説では、「訪問系サービス共通の「同一の建物に対する減算」における「同一の建物」とは、構造上、外形上一体となっているもの。渡り廊下でつながっているものも含む。同敷地でも別棟であれば同一の建物とは見なさない」、「居宅介護支援の『退院・対処加算』は、『医師等からの要請により』とあるが、医師等からの要請がなくても、医療機関の職員と面談の日程調整の上、情報を得たら算定可能」などの補足説明もあった。

つづいて、この日のために寄せられた質問、20問への回答が示された。
訪問介護では、「生活援助における買い物サービス」について、「実際には運用が難しい」という事前の質問(意見)に加え、会場から「これは都市部ではなく地方を想定しているのか」との質問が出た。これに対して松山氏からは、「近くに商店がない地域を想定したのは事実。都市部では一度訪問してから行くほうがスムーズかもしれない。訪問前に買い物をするのであれば、必要に応じて事前に利用者と文書等で金銭の取扱について取り決めるのが望ましい」との回答があった。

通所介護に関しては、利用者の心身状況から所要時間を短縮した場合の算定について複数の質問が寄せられた。回答としては、利用者の課題に応じた通所介護計画が立てられている事業所において、時間は短縮しても計画していた内容がおおむね提供されていれば算定可能。ただしサービス内容に大きな変更があった場合には、原則として計画の再作成をしないと算定できないとのことだった。

また、法解釈についての質問も寄せられた。中でも多かったのは、通所介護送迎時の自宅内での介助を、通所介護・訪問介護のどちらで対応すべきかについての質問。松山氏の回答は、「国としては、通所介護は玄関まで、居宅内の介助は訪問介護でと考えているが、通所介護が送迎時に居宅内の介護をしてはいけないという制限はない。その時間帯に訪問介護の提供が難しいなど、地域の実情に応じて対応してほしい」とのことだった。

居宅介護支援についての質問では、予防からの区分変更で介護に変わった利用者について、地域包括支援センター(以下、包括)側の事情で引き継ぎが遅れて対応不能な場合も、居宅介護支援事業所(以下、居宅)が運営基準減算になる件があがった。松山氏は、「その場合は居宅に対する減算を適用すべきではない」とのこと。また、同じく包括との問題で、予防プランを受けないなら介護のケースを紹介しないという一部の包括については、「法令に基づいた対処が必要なので、保険者に訴えてほしい」と答えた。

また、「現時点で保険者に質問しても、保険者も改定内容の解釈について十分理解できておらず、明確な回答が帰ってこない」「担当者によって解釈が違う」等の指摘もあった。これに対して松山氏は、「担当者によって回答が違うのは問題だが、不明点については保険者が国に確認して回答することになっている。保険者にどんどん確認してほしい」と答えた。(ケアマネジメントオンライン)