5月9日、東京・虎ノ門で厚生労働省の「介護支援専門員(ケアマネジャー)の資質向上と今後のあり方に関する検討会」の第2回会合が開かれた。第1回会合では、構成員全員が一言ずつ意見を述べて終わったが、今回は、検討会のテーマである介護支援専門員の評価、養成のあり方、質の向上の取り組みなどについて、5名の構成員がプレゼンテーション(以下、プレゼンと表記)を行った。

プレゼンを行った構成員は、加藤昌之氏(さわやか福祉財団政策提言プロジェクトリーダー)、筒井孝子氏(国立保健科学院統括研究官)、東内京一氏(埼玉県和光市長寿あんしん課長)、野中猛氏(日本福祉大学教授)、藤井賢一郎氏(日本社会事業大学専門職大学院准教授)の5名である。

それぞれ持ち時間をオーバーしてのプレゼンは、非常に充実した内容であり、構成員からも「プレゼンテーションというより、レクチャーを受けて得をした気分」との感想があった。記事では、5名のプレゼンの内容について3回に分けて紹介する。

加藤氏からは、フォーマルサービスとインフォーマルサービスの両方を提供している居宅介護支援事業所所属のケアマネジャーと、フォーマルサービスのみの事業所所属のケアマネジャーの利用者支援のためのネットワーク構築の違い等について、事例による報告があった。

まず、介護保険以前から助け合い活動をしていたNPO法人所属のケアマネジャーの事例を紹介。インフォーマルサービスも併せ持つ事業所のケアマネジャーは、チームを組んでケアに当たれることを示した。この事業所は介護保険制度開始に伴って保険サービスを始め、その後もケアをしていく上で足りないサービスを保険外も含めて付け加えている。地域の社会資源についての情報に詳しく、企業やNPO、近隣住民が役割分担しながらサービスを提供している好例として紹介された。一方で、加藤氏は、インフォーマルサービスを併せ持つ事業所は過剰サービスに陥る恐れもあると指摘した。

フォーマルサービスのみの事業所のケアマネジャーの場合は、利用者支援のネットワークやインフォーマルサービスの構築から担うことになると指摘。事例を通して、近隣住民によるボランティアが、利用者本人とボランティアとして活動する近隣住民の双方にとって負担にならないよう、サービス提供時間と人の調整など、ケアマネジャーが手を掛けている実態を紹介した。そして、手はかかるものの、ケアマネジャーによるインフォーマルサービスの調整によって、利用者と地域住民の相互理解関係とそれによる相乗効果で、利用者の社会参加が促され、能力の維持向上につながっていることを示した。

--検討会(2)では、当初から指摘されてきた介護支援専門員の課題を置き去りにしてきたから深刻化している等、介護支援専門員自身の問題よりそれ以外の様々な問題を指摘しつつ、質の評価方法についての提案をした筒井氏、「ケアマネージャーは大好きだし頑張ってほしいと思っている」というケアマネージャー擁護派の東内氏のプレゼンについて報告する。(ケアマネジメントオンライン)