全国訪問介護協議会の荒井信雄会長は11日、キャリアブレインが主催する「2012年診療・介護報酬同時改定セミナー」で特別講演し、介護報酬上で扱われる生活援助は、次回の改定以降、縮小され続ける可能性が高いと指摘。特に訪問系の事業者は、身体介護は介護保険で、見守りや買い物代行などの生活支援は民間の介護保険外サービスでまかなう「混合介護」を意識し、経営すべきと訴えた。

 荒井会長は、今回の改定で、生活援助の時間区分が45分未満と45分以上に変更された点について、「大きな影響を受けるのは、(現行の)生活援助3(60分以上)」と分析。生活援助3を利用している顧客がいる場合、遅くとも今月中には、プランの見直しなどの対応をすべきと述べた。

 さらに4月からの制度変更を受け、事業者が自治体に確認すべき点として▽「定期巡回・随時対応型訪問介護看護(24時間訪問サービス)」の指定業者を、公募制によって決めるのか▽居宅サービス事業者の指定を、市町村と都道府県が調整する、「協議制」が導入されるのか▽「介護予防・日常生活支援総合事業」が導入されるのか―などを挙げた。

■特養は「終の棲家としてのサービス強化を」

 「これからの時代を生き抜く介護施設の経営戦略」のテーマで特別講演した特別養護老人ホーム(特養)緑風園(北海道登別市)の菊地雅洋総合施設長は、4月の報酬改定後、24時間訪問サービスが、特養や介護老人保健施設(老健)の経営上の新たな競争相手になると指摘。特に特養が24時間訪問サービスと対抗するためには、「終の棲家としてのサービスを強化するしかない」とした。
 通所介護の時間区分が「6-8時間」から、「5-7時間」と「7-9時間」に見直される点については、7時間以上の長時間サービスを提供できる体制を整えることが大切と指摘。その上で、事業者側の都合で利用者に長時間サービスを提案するのではなく、ニーズに合わせたサービスを用意し、長時間サービスを選択してもらえる体制を整えることが大切とした。また、利用者に選ばれる事業所になるためのポイントとして、「大人が楽しめるメニューを整えること。特に男性の利用者が楽しめる内容になっているかどうかがポイントとなる」と述べた。

■同一建物のサービス提供「なるべく早く実態調査」

 「平成24年度介護報酬改定について」のテーマで基調講演した厚生労働省老健局老人保健課の宇都宮啓課長は、改定の概要などについて説明。また、社会保障審議会介護給付費分科会などで問題が指摘されている同一建物内への介護サービスの提供の実態について、「なるべく早急に調査する」と述べた。(CBニュース)