厚生労働省が23日に開催した全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議では、それぞれの担当課長の説明が終わった後、参加者からの質疑応答の時間が設けられた。質問が集中したのは、「介護職員処遇改善加算」について。

まず、介護職員処遇改善加算は、賃金改善を実施することが算定要件の一つとなっている。その比較対象について、どの時点の賃金体制と比較するのか、質問があがった。これに対し、厚労省担当者から、「基本的には平成23年、つまり直近の賃金水準で、交付金がないという仮定で」比較すると回答。「交付金以外で賃金が上がっていれば、それがベースになる」と説明した。

また、賃金改善の開始時期については、交付金の場合、「サービス提供分にかかるもの」という考え方が取られてきたため、「改定は4月からだが、(交付金が)3月サービス分までということになると、一番遅いパターンで5月、6月くらいになるのでは? その整合性は?」と質問があった。これについては、「原則、4月からですが、うまく接続できるよう、柔軟な取り扱いができるよう対応したいと思います」と、明確な回答は避け、後日公表されるQ&Aで対応するとみられる。

さらに、介護職員処遇改善計画書についても質問があり、厚労省担当者より説明が行われた。当日配布された通知案「介護職員処遇改善加算に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について(素案)」では、同計画書は、「介護サービス事業所等を複数有する介護サービス事業者等(法人である場合に限る)である場合や介護サービス事業所等ごとの届出が実態に鑑み適当でない場合、当該介護サービス事業者等が一括して作成することができる」と明記。

このうち、「実態に鑑み適当でない場合」の説明を求められ、厚労省担当者が、「いろいろとあると思うのですが」との前置きのもと、「たとえば、2つの事業所で訪問介護を職員が兼任して行っている場合など、処遇をわけられないようなケース」と例を挙げた。

また、複数の都道府県にまたがる法人の場合については、「今までの取り扱いを継承していますので、いままで、処遇改善交付金を法人単位でつくっていたようなところはそのまま可能かと思います」と述べた上で、「計画は法人単位でも、加算算定の届出は指定権者ごと。つまり、加算を算定する事業所がある都道府県ごとに」と説明した。

このほか、老人保健施設などへの転換期限が6年間延長された介護療養病床については、「事業継承、増床などは認められるのか?」との質問があった。
介護療養病床について、廃止の方向は変わっておらず、「平成24年度以降の新設は認めない」とされている。ただ、譲渡、継承等によって個人から法人に運営が変わるなど、さまざまなケースが考えられる。厚労省担当者は、「さまざまな事案を含めて、さまざまな場合があると思いますので、我々の見解を示していきたい。今日、明確な見解をお示しすることはできませんが…」と、説明した。(ケアマネジメントオンライン)