介護療養型老人保健施設(転換老健)には、新たな報酬体系が設定される。たんの吸引や経管栄養を必要とする医療ニーズの高い人や認知症の高齢者を積極的に受け入れる施設(強化型)には、高い報酬が設定される。また、今年度末の廃止が2017年度末まで延期された介護療養型医療施設については、報酬が引き下げられる。


 転換老健のうち、▽「医療機関からの新規入所者の割合」から「自宅などからの新規入所者の割合」を差し引いた値が35%以上▽たん吸引か経管栄養を実施された入所者が20%以上▽著しい精神症状や重い身体疾患などがあり、専門医療を必要とする認知症高齢者が50%以上-のすべての要件を満たした施設(強化型)に対し、新たな報酬が設定される。現行の報酬と比べて、要介護3-5の入所者については69単位が上乗せされる。一方、これらの要件を満たせない施設の報酬は据え置かれた。

 介護療養型医療施設からの転換を促進するための新たな支援も盛り込まれた。現在、介護療養型医療施設が有床診療所を併設した転換老健となる場合、転換老健として報酬を算定できる病床数は、転換前の病床数から有床診療所の病床数を差し引いた数が上限となっている。この仕組みを改め、有床診療所の病床数分も転換老健として報酬算定できるようにする。このほか、既に実施されている施設基準の緩和などの支援策は、17年度末まで継続する。

 転換老健における看取りへの対応を強化するため、加算が見直された。現在、入所者の死亡日以前15-30日前は200単位/日、死亡日以前14日までは315単位/日となっている「ターミナルケア加算」を、入所者の死亡日以前4-30日前は160単位/日、死亡日の前日と前々日は850単位/日、死亡日は1700単位/日とした。算定要件はほぼ従来通りだが、「入所している施設または当該入所者の居宅において死亡した場合であること」との要件は削除される。「在宅復帰支援機能加算」については要件が変更され、転換老健のみが算定できる加算となる。同加算1は廃止され、同加算2は5単位/日に設定される。

■「認知症行動・心理症状緊急対応加算」を創設―介護療養型医療施設

 介護療養型医療施設については、入所者の要介護度や施設の形態にかかわらず、報酬が引き下げられる。ただ、認知症が悪化し、在宅での対応が困難になった人の受け入れを促進するため、「認知症行動・心理症状緊急対応加算」を創設する。医師が緊急に介護療養施設サービスを行う必要があると判断した人を受け入れた場合、入所した日から7日を限度に200単位/日を算定できる。(CBニュース)