日本介護支援専門員協会(JCMA)の木村隆次会長は、新年に際しての所感をホームページで発表した。

木村氏はまず、4月に行われる改正介護保険法の施行で新たに導入されるサービスと、6年に1度行われる介護報酬・診療報酬の同時改定について挙げている。木村氏は法改正について、「医療、介護、予防、住まい、生活支援サービスを切れ目なく一体的に提供する地域包括ケアシステムの実現に向けて、介護が必要な人も医療が必要な人も、住み慣れた地域で安心して暮らせる体制づくりに取組む視点で見直しが行われました。おおむね30分以内で駆けつけられる日常生活圏域ごとに、地域の実情にあった我がまちのサービス提供体制を構築していくことがポイントです」と述べている。

また、介護保険のサービスで新たに導入されるものについて、訪問介護と訪問看護が連携をとりながら短時間の定期巡回を行い、利用者からの通報があれば随時駆けつける24時間対応型の「定期巡回・随時対応サービス」、さらに、通い・訪問・泊まりの機能を持つ現行の小規模多機能型居宅介護に訪問看護を組み合せた「複合型サービス」が可能になったことを挙げ、サービスが着実に改善されていることを強調。

一方、「利用者の皆様にとっては、新しい仕組みが導入されると実際に受けられるサービスが減るのか増えるのかも切実な問題です」と、懸念する声の存在も認めている。木村氏は、「いずれのサービスも自立支援に資するためのケアマネジメントに基づいて過不足なく提供されることが重要です。基本的にケアマネジメントは真に必要なサービスを見極められるケアマネジャーが多職種協働によって行うことで、給付の適正化を図ることも可能になります」としている。

また、昨年起きた東日本大震災によって、被災地のケアマネジャー、全国から支援に集まったケアマネジャーが全力で被災地の支援に取り組んだことに謝意を表した。木村氏は、「私は自ら被災したケアマネジャーが懸命に利用者の安否確認を続ける姿、安否確認を経て、時系列で変わるニーズを捉え被災者の暮らしを支える姿を目の当たりにして、この日本にケアマネジャーによるケアマネジメントが確実に根付き、社会保障制度に欠かせない存在になっていることを実感しました」と,ケアマネジャーの存在がいかに大きいものであるかを述べた。

今年は政府の「社会保障・税一体改革」の工程に基づき、社会保障制度全体が次のステージに向けて大きな一歩を踏み出す年になると言える。また、ケアマネジャーの資質向上や資格制度、研修のあり方等について検討する場が国に設置され根本的な改革の議論が行われるため、「私どもケアマネジャーも転換期を迎えています」と締めくくった。(ケアマネジメントオンライン)

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