診療報酬と介護報酬の同時改定に向けた厚生労働、財務両省の調整が最終局面を迎えています。16日の閣議後の記者会見では、小宮山洋子厚労相が「(診療報酬の)本体を切り込むということはあり得ない」と財務省側をけん制。これに対し安住淳財務相は、薬価を含む診療報酬全体でのプラス改定は「論外」と主張しました。週が明けて20日には両大臣が折衝に臨みましたが、両者の主張は終始、平行線をたどりました。政府は2012年度予算案を24日に閣議決定する方針を示しており、折衝は21日以降も続きますが、調整は難航が予想されます。(CBニュース)

■14日(水)民主党・適切な医療費を考える議員連盟
 12年度診療報酬改定で、ネット(全体)で3%以上の引き上げを求める決議文を輿石東幹事長に提出。同日の総会では、報酬引き上げに慎重な姿勢を示した政府・行政刷新会議の「提言型政策仕分け」の結果を踏まえずに引き上げるべきだとの意見が相次いだ。
診療報酬ネット3%増求める決議文提出-民主議連、輿石氏に
診療報酬、仕分け踏まえず引き上げを-民主議連で意見相次ぐ

■14日(水)中央社会保険医療協議会総会
 後発医薬品の使用促進策をまとめた骨子案を了承した。後発品の数量シェアを12年度に30%以上とする政府目標を達成するため、薬局向けの「後発医薬品調剤体制加算」の要件のうち、後発品の使用割合を引き上げることなどが盛り込まれた。
【中医協】後発品使用促進の骨子案を了承

■14日(水)中医協薬価専門部会
 日米欧の製薬団体と日本医薬品卸業連合会の4団体から、12年度薬価改定についてヒアリングを行った。この中で、日本製薬団体連合会(日薬連)の庄田隆会長(第一三共会長)は、「新薬創出・適応外薬解消等促進加算」の試行期間を14年度改定までの2年ではなく、4-6年とするよう求めた。また、長期収載品(後発医薬品のある先発品)の薬価の追加引き下げに「大変大きな懸念を持っている」と表明した。
【中医協】新薬創出加算、試行4-6年に-日薬連などが要望

■14日(水)DPC評価分科会
 12年度診療報酬改定に伴うDPC関連の見直し案を決めた。同制度に参加する病院を3つのグループに分けた上で、このうち「大学病院本院群」と「高診療密度病院群」(仮称)に、12年度から外来データの提出を新たに求める方向性を打ち出している。一方、「その他急性期病院群」によるデータ提出は任意とし、提出した場合には診療報酬で評価する。
DPC大学本院群など外来データも提出へ―中医協分科会、21日の総会に報告

■16日(金)小宮山厚労相閣議後記者会見
 12年度診療報酬改定について「(診療報酬の)本体を切り込むということはあり得ない」と強調。安住財務相との閣僚折衝を翌週に控え、本体マイナスを主張する財務省をけん制した。
診療報酬改定「本体切り込みはあり得ない」-小宮山厚労相、閣議後会見

■16日(金)安住財務相閣議後記者会見
 12年度診療報酬改定での本体部分の改定率について、「さまざまな社会状況を勘案すれば、プラスにするのは難しい。その考えは来週になっても変わらない」と述べ、小宮山厚労相との折衝でも引き下げを主張する方針を示唆。特に、診療報酬のネットでのプラス改定については、「論外」との認識を示した。
診療報酬本体下げ方針「来週も変わらぬ」-安住財務相「ネットプラス論外」

■16日(金)民主党厚生労働部門会議
 12年度の診療報酬、介護報酬同時改定に関する決議文をまとめ、前原誠司政調会長に提出した。診療報酬については、全体で0.19%、本体で1.55%のプラスとなった10年度改定の改定率を下回らないよう要望。介護報酬では、現在の水準を維持するとともに、年度末に終了する介護職員処遇改善交付金分に相当する2%以上の引き上げを求めた。
診療報酬の改定率、「前回以上」を-民主・厚労部門会議が決議文

■16日(金)中医協薬価専門部会
 厚労省が提示した12年度薬価改定の骨子案を大筋で了承。骨子案はこれまでの議論に沿った内容で、「新薬創出・適応外薬解消等促進加算」の試行的実施の継続などを盛り込んだ。
【中医協】12年度薬価改定骨子案を了承

■19日(月)藤田厚労政務官 政務三役会議後の記者会見
 「最初から基本方針は変わっていない。その立場で今週も協議に臨む」と述べ、財務省との折衝で、診療報酬全体でのプラス改定を目指す考えを改めて示した。
診療報酬「全体でプラス」主張に変化なし―厚労省

■20日(火)小宮山、安住両大臣折衝
 薬価を含む診療報酬全体での引き上げを求める小宮山厚労相に対し、安住財務相は10年度の前回改定で対応済みとの立場を崩さず、主張は終始平行線をたどった。
診療報酬改定で厚労、財務両大臣が折衝-小宮山厚労相「終始、平行線」