12月5日、厚生労働省は第87回社会保障審議会介護給付費分科会を開き、「平成24年度介護報酬改定に関する審議報告」について議論を行い、概ね合意を得た。

この日は、まず、前回の議論をふまえて修正を行った審議報告(案)について、厚労省が修正箇所を説明。これに対して議論が交わされた。

最初に意見が集中したのは、「介護職員の処遇改善に関する見直し」について。
報告案では、「これは、介護職員処遇改善交付金相当分を介護報酬に円滑に移行するために、例外的かつ経過的な取扱いとして設けるものである」と記載。

福田富一委員(全国知事会社会文教常任委員会委員長)の代理として出席していた和田参考員は、「当面は加算で、時期に応じて基本報酬に組み込むということ?」と質問。
これに対して、厚労省担当者は、「報酬本体として組み入れていく。その前段階として、加算というものもあるでしょうし、手段を考えます」と回答した。

池田省三委員(地域ケア政策ネットワーク研究主幹)は、「この表現でやむを得ない感はあるが…」と述べた上で、「一つ、論議が抜けていた」と指摘した。
処遇改善で介護職の収入が増えると考えている人は多いが、実際は増えない。ホームヘルパーの過半数は時間給。配偶者控除の103万円という壁があるので、年収を調整している。年収が上がらない人が圧倒的に多い。時間給を引き上げれば、労働時間が減る。利用者から見れば、提供されるサービス量が減るということ。これは変ではないか。つまり、介護職員の過半は、収入が増えない。常勤労働者を前提としていて、実態と矛盾している」(池田委員)

この池田委員のコメントに対して、大森彌分科会長(東京大学名誉教授)も、「(報告書の文言は変えないが)池田委員の発言は議事録に残る。アンダーラインを引いておきたい」と賛同した。(ケアマネジメントオンライン)