民主党の医療・介護ワーキングチーム(WT)による議論が本格化しています。税と社会保障の一体改革や2012年度の診療報酬、介護報酬の同時改定について、WTとしての意見を月内に取りまとめる見通しで、22日に示された原案では急性期の後方機能を担う中小病院に対する診療報酬上の評価を求めています。これに対し、政府の行政刷新会議による提言型政策仕分けでは、12年度は診療報酬本体の改定率を据え置くべきだとの意見が大勢を占めました。中央社会保険医療協議会(中医協)は18日の総会で、DPC対象病院の基礎係数を「大学病院群」など3つのグループごとに設定する方向で大筋で合意しました。(CBニュース)


■16日(水)民主党社会保障と税の一体改革調査会
 同党の医療・介護WTの座長を務める柚木道義衆院議員は、医療従事者の負担軽減や病院・病床機能の分化・強化などを進めるため、12年度の診療報酬改定は「プラス方向での検討が必要」との認識でWT内では一致していると調査会に伝えた。
受診時定額負担や処遇改善交付金など議論- 民主党、一体改革調査会総会

■16日(水)医療技術評価分科会
 「手術」や「処置」など医療技術の審査をスタートさせた。新しい技術への評価や、既存技術への評価の見直しを求め、学会側は計985件(重複分を含む)を提案。同分科会では保険適用の優先度が高い技術を洗い出す。薬事法未承認の医薬品や医療機器を使うものなどは審査の対象外。年明けに具体案を固め、その後の中医協総会に報告。新規の保険適用や評価の見直しは中医協が最終判断する。
医療技術の審査スタート、年明けに具体案- 中医協分科会

■17日(木)社会保障審議会医療部会
 12年度診療報酬改定の基本方針案を厚生労働省が提示。同部会や社保審医療保険部会のこれまでの議論を踏まえたもので、病院勤務医など「負担の大きな医療従事者」の負担軽減や医療・介護の役割の明確化、地域での在宅医療の充実などを重点課題に掲げた。同省が24日の医療保険部会に同じ提案をし、両部会はそれ以降、最終的な取りまとめに入る見通しだ。
次期診療報酬改定の基本方針案を提示- 厚労省

■18日(金)小宮山洋子厚労相閣議後記者会見
 12年度の診療報酬、介護報酬の同時改定に関し、「少しでもプラスになる方向で行きたい」と、就任以来の見解を繰り返した。
仕分けなど踏まえ「最終的にわたしが判断」- 小宮山厚労相

■18日(金)中医協総会
 現行の調整係数に代わりDPC対象病院に適用する基礎係数を、3つのグループごとに設定する内容の中間報告案で、大筋で合意した。DPC対象病院を「大学病院本院群」、「高診療密度病院群」(仮称)、「その他の急性期病院群」に分け、これらのグループごとに基礎係数を設定する。厚労省は12年度以降、何回かの診療報酬改定を経て、こうした形に切り替えたい考え。いつまでに最終形に移すかは、年明け以降に中医協で議論する。
【中医協】DPC基礎係数、3通り設定へ- 来年度以降、段階的に移行

 12年度診療報酬改定の基礎資料となる「医療経済実態調査」(医療実調)の結果に対する見解を、診療側委員7人が連名で提出。10年ぶりのプラス改定となった10年度の報酬改定の後も、医療機関の経営は「依然として非常に不安定な状態にある」と訴えている。
 支払側の白川修二委員(健康保険組合連合会専務理事)は、医療実調の分析結果を提出。それによると、一般診療所、歯科診療所、保険薬局は黒字が続いており、10年度改定後も安定した経営を維持。一般病院の経営も改善され、公立を除き黒字を計上した。
【中医協】診療側「医業経営は依然不安定」- 医療実調受け見解

■18日(金)日本看護協会
 看護職が長く働き続けられる労働環境を整備するための人員体制の強化について、12年度の診療報酬改定で評価することや、「特定看護師」(仮称)の制度化・法制化を推進することなどを求める要望書を、自民党の組織運動本部・厚生関係団体委員会の加藤勝信委員長と厚生労働部会の宮沢洋一部会長に提出した。
「特定看護師」の早期制度化を要望- 日看協

■21日(月)がん対策推進協議会
 12年度の診療報酬改定で、がん対策を推進するため、在宅緩和ケアの充実などへの評価を求める要望書を小宮山厚労相にあてて提出した。
在宅緩和ケア充実など求め要望書- 来年度診療報酬改定へ、がん対策推進協

■22日(火)民主党医療・介護WT
 社会保障と税の一体改革や同時改定に対するWTとしての意見の最終取りまとめに向けた議論を本格化。取りまとめの原案では、12年度の診療報酬の改定率について、「国と保険者の財政状況を勘案し重点化・効率化をさらに進める必要がある」と指摘。その一方で、急性期の後方機能を担う中小病院などの厳しい現状に対応するため、10年の参院選マニフェストに沿って診療報酬引き上げに引き続き取り組むよう訴えている。月内に最終取りまとめを行う見通しだ。
民主WT原案、「診療報酬引き上げ」求める- 最終取りまとめへ議論大詰め

■22日(火)行政刷新会議の提言型政策仕分け
 後半日程に入ったこの日、社会保障分野を取り上げた。12年度診療報酬改定の方向性について、大半の仕分け人が診療報酬本体を「据え置く」よう主張。また、診療報酬に「メリハリ」を付け、勤務医と開業医ごとや診療科目ごとに、勤務時間やリスクに応じて大胆に配分するよう求めた。
診療報酬本体「据え置き」を‐提言型政策仕分け