厚生労働省は11月14日、第85回社会保障審議会介護給付費分科会を開催した。その中で、「さらに議論が必要な論点」として、
 ・介護老人福祉施設
 ・特定施設入居者生活介護
 ・介護老人保健施設
 ・訪問介護
 ・通所介護
 ・短期入所生活介護
 ・小規模多機能型居宅介護
 ・定期巡回・随時対応型訪問サービス
に関して、まず、厚労省からそれぞれ複数の論点が示され、フリーディスカッションが行われた。

なかでも議論が集中したのが、介護老人福祉施設の「多床室の室料負担」に関すること。

厚労省が示した論点は、

特養・老健・介護療養の多床室の室料負担は、所得第4階段以上から求めることとしてはどうか。(所得第1~3段階は対象としない。具体的には所得第1~3段階の補足給付を増額することによって、室料負担を求めないこととする。)

というもの。負担額は、前回の分科会で示したとおり、月額8,000円

武久洋三委員(日本慢性期医療協会会長)は、「古くても新しくても、(室料を)徴収するのか?」と質問。これに対し、厚労省担当者は、「徴収すると考えています」と回答。

他の委員からも、「補足給付のあり方を整理したうえで話し合うべきなので、今回は見送るべき」(山田和彦委員・全国老人保健施設協会会長)、「財源上の議論は重要だが、集団ケア、グループケア(の良さ)があり、居室料をとるというのは時期尚早。現時点では反対したい」(村上勝彦委員・全国老人福祉施設協議会総務・組織委員長)など、反対意見が多かった。

また、新たに始まった「サービス付き高齢者向け住宅」については、前回の分科会で、
通所介護等については送迎分の適正化を図るものの、この住宅に24時間対応の定期巡回・随時対応サービス等の居宅サービス提供事業所を併設する場合の囲い込みに係る報酬の減算については、今後の「サービス付き高齢者向け住宅」の整備状況を踏まえ、検討すべきではないか。
ということが論点に挙がっている。

これに対して、馬袋秀男委員(民間介護事業推進委員会代表委員)は、訪問介護などに入る場合には、同じマンションなどであっても、一軒一軒チャイムを鳴らし、オートロックを外して入っていることなどを説明した上で、「サービス付き高齢者向け住宅はこれから始まるサービス。経過をみて判断してほしい」、「同一建物のなかでやる場合と外から入る場合で、今すぐに分類するのは早いと思う」と意見。
一方、三上裕司委員(日本医師会常任理事)は、「診療報酬の訪問診療料の場合、(同一建物居住者以外)830点と(同一建物居住者)200点となっている」と、同一建物の場合は減算することを支持。意見が分かれた。

このほか、訪問介護においては、定期巡回・随時対応サービスへの移行を想定し、身体介護の単位として新たに「20分未満」の枠を新設することが提案された。見直し案は、「20分未満」「20分以上30分未満」(30分以上の時間区分は現行どおり)。

また、この日の会合では、「参考」として厚労省から提示された「賃金・物価等の経済状況」を示した資料に対し、

小林剛委員(全国健康保険協会理事長)「改定率についても、現在の経済状況に見合ったものであるべき」
武久委員「2025年問題は喫緊の課題。非効率な部分、必要でないものは抑えていくべき」
村川浩一委員(日本社会事業大学教授)「デフレ傾向は認めていかなければいけない。ただし、単純に丸呑みすると…、介護職員の賃金が減ってもいいのか」
三上委員「一般産業と医療、介護は異なる。マイナス改定でなければダメという話はやめてほしい」

など、意見が交わされる場面もあった。(ケアマネジメントオンライン)