14日の社会保障審議会介護給付費分科会(分科会長=大森彌・東大名誉教授)で厚生労働省は、2012年度介護報酬改定で、訪問介護の身体介護中心型に20分未満の時間区分を創設することを提案した。ただ、対象となる利用者を「要介護3以上」など重度者に限定するほか、定期巡回・随時対応型訪問介護看護(24時間訪問サービス)への参入意思も求めるなど、24時間訪問サービスへの移行を念頭に置いた要件を設定している。

 現行の身体介護中心型の訪問介護では、30分未満(254単位)の時間区分はあるが、20分以上のサービス提供が必要とされており、20分未満の短時間では算定できない。
 厚労省の提案では、30分未満の時間区分を、新設する「20分未満」と、「20分以上30分未満」の2つに再編。短時間のサービスを1日複数回算定できるようにする。ただし、20分未満を算定できる利用者を、▽要介護3以上で、「障害高齢者の日常生活自立度」ランクBかC▽週5日以上、短時間の身体介護サービスが必要と認められる人―に限定。また、事業所の体制に関しては、▽毎日午前6時から午後10時まで営業し、深夜帯もオンコール体制が確保できている▽利用者に関するサービス担当者会議を3か月に1回以上開催し、サービス提供責任者(サ責)が必ず参加している▽24時間訪問サービスを実施する意思がある―との要件も求めている。

 厚労省は20分未満の短時間サービスの報酬について、15年度の次期改定時に、24時間訪問サービスとの関係性を踏まえて必要な見直しを行う方針も示した。

■24時間訪問サービスの看護職、訪看並み2.5人を提案
 また厚労省は、24時間訪問サービスの看護職員の人員基準案を改めて提示した。9月の会合では「サービスの提供に必要な数以上」との案を示していたが、この日の会合では「常勤換算で2.5人以上」と、現行の訪問看護事業所並みの基準にすることを提案。さらに、▽24時間訪問サービスと訪問看護が同じ事業所で一体的に運営されている場合、看護職員の兼務を認める▽常時オンコール体制を確保する―との案も示した。

 また、利用者からのコールを受けるオペレーターの資格要件についても再提案した。9月の会合では、夜間対応型訪問介護のオペレーター要件より緩やかなサ責と同等の要件にするとの案を示していたが、この日の会合では、「現行の夜間対応型訪問介護のオペレーター資格を有する者」と規定する方針を提示。こうした職員が配置されていない時間帯はサ責の従事も認めるが、サ責として3年以上の実務経験がある人に限定するなど、要件を厳格化することにした。(CBニュース)